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超大型ディスプレイの品質を極限まで高めるマイクロLED(前編)福田昭のデバイス通信(421) 2022年度版実装技術ロードマップ(45)(2/2 ページ)

今回は発光ダイオード(LED)を画素とする超大型ディスプレイ(超大型スクリーン)の概要を紹介する。

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ミニLEDは液晶ディスプレイのバックライトから普及

 「ミニLED」の実用化はディスプレイそのものではなく、テレビ/モニター用高精細液晶ディスプレイのバックライトとして始まった。従来のバックライト用LEDは液晶ディスプレイ全体の光源となっており、ディスプレイの消費電力低減と画質向上の妨げになっていた。

 ディスプレイが表示する画像は通常、明るい部分よりも暗い部分が多い。バックライト用LEDは明るい画像を前提に最大出力で常に動作しており、実際には不要な電力を消費していた。また液晶シャッターは光を完全には遮蔽(しゃへい)できず、黒色がうまく表現できずに暗い灰色となってしまう弱点があった。

 そこで単一光源のバックライトではなく、複数のLEDを使ってバックライトを分割駆動し、暗い部分ではバックライトの光出力(光量)を下げる工夫(「ローカルディミング」と呼ぶ)が組み込まれるようになった。ただしバックライトのレイアウトが直下型(液晶パネルの下型あるいは裏面側にLEDを配置する方式)に限られるため、ディスプレイの寸法が厚くなってしまう。


バックライトにミニLEDを採用した高精細液晶テレビの製品例。シャープが2021年10月に発売した8K/4Kテレビ「AQUOS XLED」の表示画面(左)とミニLED駆動による効果のイメージ(右)。65V型の4Kテレビ「4T-C65DP1」の場合、約8000個のバックライト用ミニLEDを搭載した。なお、この画像は実装技術ロードマップ(書籍)には掲載されていないので留意されたい[クリックで拡大] 出所:シャープの2021年10月26日付ニュースリリース

 このローカルディミングによる効果を最大限発揮させるため、従来のLEDに代わってミニLEDが採用されるようになってきた。最近では多数のミニLEDで構成した直下型バックライトを採用した液晶ディスプレイが、ハイエンドの大型品を中心に商品化されている。画面の分割数(セグメント数)は数十から数百、さらには1000を超える製品がある。一方でセグメント数を増やすことはミニLEDの搭載数の増加、すなわち製造コストの増加をもたらす。ミニLEDの搭載数は一定数に抑え、そのほかの要素技術(液晶パネル設計や画像処理など)によって高画質と低消費電力の両立を図った製品も見受けられる。

後編に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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