パワー半導体向け堅調で高水準の出荷維持、ディスコ:4Qからは生成AI向けも(2/2 ページ)
ディスコの2023年度第2四半期(7〜9月期)売上高は前四半期比34.0%増の722億円、営業利益は同65.2%増の280億円、純利益は同57.9%増の200億円だった。世界的なEVシフトや脱炭素化の進展を背景としたパワー半導体向けで強い需要が継続、市場動向と連動性が高い出荷額は794億円と高水準を維持している。
生成AI向け装置出荷に期待
2023年度第3四半期(10〜12月期)の業績は、売上高は755億円、営業利益は284億円、純利益は154億円、営業利益率が37.6%と予想している。パワー半導体向けで高水準の出荷が継続するほか、引き続きスマホ向けなどの量産用途は低調に推移する一方で、IDMや一部ファウンドリーの先端投資も下支え要因となる見込みだという。
なお、同社は、2023年度第4四半期(2024年1〜3月)からは生成AI(人工知能)向け装置の出荷も見込んでいる。具体的には、主にNVIDIAなどをエンドユーザーとする2.5D(2.5次元)パッケージング技術および、HBM(High Bandwidth Memory)メモリ向けの装置だ。ディスコは、「HBMメモリは当社にとって非常にハイエンドの装置が求められる形になり、チャンスになるだろうと考えている」と説明。具体的な出荷額や売上高の見通しは明かさなかったが「2023年度第4四半期から出荷が始まり、2、3四半期程度にわたって出荷が続いていくだろう」と述べた。
米国の対中規制に関しては、「現在のところ直接の規制の影響は出ていない」と述べつつ、「(規制が)さらに強化されたこともあり、今後影響が出てくるかどうか、注視していく。また、前工程の製造装置メーカー側への影響もしっかりと見ていきたい」と語った。
羽田に研究開発の新棟建設へ
同社は2023年10月19日、「羽田R&Dセンター」(東京都大田区)に約129億円を投じて新棟を建設するとも発表した。2025年4月に着工し、2027年3月末に完成予定で、「R&D機能のさらなる強化を図り、今後の半導体/電子部品市場におけるニーズへの対応を可能とする」と説明している。
同センターはディスコが2022年3月にANAホールディングスから取得したもので、もともとは、航空機乗務員の訓練やデータセンターとして建設されていた施設だ。そのため、耐荷重のある床が比較的多く、給排水/圧縮空気などのユーティリティーを整備し開発現場として使用してきたが、「昨今の開発テーマの増加から、開発に使用できる床を増やすために建て替えを決定した」と説明している。今回、既存7棟のうち2棟を解体して、8階建て延べ床面積2万2300m2の新棟を建設するという。
なお、他の既存5棟は、研究開発ならびに高需要期における生産体制増強などの用途で引き続き使用するとしている。
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