連載
コンピューティングと計測・センシングの限界を打破する量子技術(前編):福田昭のデバイス通信(427) 2022年度版実装技術ロードマップ(51)(2/2 ページ)
今回は、第2章第6節第5項「2.6.5 量子技術」の内容を簡単に説明する。
内閣府が「量子技術イノベーション戦略」を2020年1月に策定
海外の巨大IT企業、技術ベンチャー企業、大学、研究機関、中央政府、地方政府などが量子技術の研究開発に積極的に取り組み、あるいは投資していることはよく知られている。日本では内閣府が「イノベーション政策強化推進のための有識者会議「量子技術イノベーション」」で検討を重ねた結果、2020年1月21日に研究開発の指針となる「量子技術イノベーション戦略」を策定した。同戦略では、「量子暗号・量子通信」「量子情報処理」「量子計測・センシング」の3つの技術領域を規定した。さらに各技術領域の要素技術について20年後に相当する2039年度までの技術ロードマップを作成している。
なお「量子技術イノベーション戦略」の技術ロードマップは2022年4月22日に改訂版が公表された。同日には、量子技術によって目指すべき社会を描いた「量子未来社会ビジョン」を内閣府が公表した。翌年の2023年4月14日には、量子技術の実用化・産業化戦略である「量子未来産業創出計画」を策定し、公表した。
「量子技術イノベーション戦略」(2020年1月策定)と「量子未来社会ビジョン」(2022年4月策定)、「量子未来産業創出計画概要」(2023年4月14日策定)の位置付け[クリックで拡大] 出所:内閣府、「量子未来産業創出計画概要」(2023年4月14日公表)(注:この図面は「実装技術ロードマップ」(書籍)には掲載されていない)
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 化石燃料を使わない発電技術の動向
今回は、化石燃料を使わない発電技術の動向を簡単に解説する。 - 独自の進化を遂げるスマートフォン向けディスプレイ
今回は、タブレット/スマートフォン/ノートPC向けディスプレイの概要を説明する。 - 液晶と有機ELが高画質化で競り合うテレビ用ディスプレイ(前編)
今回から、テレビ(TV)用ディスプレイの概要を紹介する。本稿では、TV用ディスプレイの市場予測と、ディスプレイ駆動TFTの種類を取り上げる。 - フラットパネルディスプレイの進化を支えるデバイスの基礎
今回から、第2章第6節「新技術・新材料・新市場」の2番目のテーマである「次世代ディスプレイデバイス」について解説する。 - 次世代ディスプレイの有力候補「マイクロLED」
今回は、次世代フラットパネルディスプレイのキーデバイスを解説する「2.5.2 マイクロLED」を取り上げる。マイクロLEDパネルの強みとは何だろうか。 - ローム、液晶バックライト用LEDドライバーICを量産
ロームは、中・大型車載ディスプレイの液晶バックライト向けに、DC調光とPWM調光の機能を搭載したLEDドライバーICを開発、量産を始めた。従来製品に比べICの消費電力を約20%削減しているという。