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キヤノンのNIL技術、EUVの「対抗馬」になれるのか当面はASMLの独走状態との予測も(2/2 ページ)

キヤノンは2023年10月、ナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を発売した。業界の専門家たちは、キヤノンの同装置がASMLのEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の“ライバル”となるのは、もっと先になるだろうとみている。

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対中規制の対象にもなり得る

 Semiconductor AdvisorsのプレジデントであるRobert Maire氏は、EE Timesに提供したニュースレターの中で、「ナノインプリントは、ロジックよりも欠陥の問題に対して寛容な、メモリチップ製造に応用できる可能性がある。ナノインプリントは解像度が低く、“現実世界”の量産ソリューションには程遠い」と述べている。

 Maire氏は、「ナノインプリントの永遠の課題であり、限界となっているのが、欠陥とアラインメントだ。キヤノンが、日本企業が得意とする絶え間ないエンジニアリングへの取り組みによって、素晴らしい進捗を遂げたことは称賛に値するが、基本的な技術の限界は依然として残ったままだ」と述べる。

 キヤノンは、「ナノインプリント装置のメリットの一つに、二酸化炭素排出量を削減できるという点がある」と主張する。

 「新製品は、特殊な波長の光源を必要としないため、フォトリソグラフィ装置と比べて電力使用量を大幅に削減できる。ASMLのEUV装置は、13.5nmという超短波長のEUV光を放出するスズ(Sn)ドロップレットを蒸発させるために大量のエネルギーを消費する」(キヤノン)

 Maire氏は、「キヤノンは、2014年に米国テキサス州のMolecular Imprintsを買収した時に、ナノインプリント技術の一部を取得した。このためキヤノン製装置は、中国への米国機密技術の輸出規制の対象になる可能性がある」と指摘する。

 Gupta氏は、「また、日本政府が米国の輸出規制に協力していることも、中国による技術の入手を制限する要素となるだろう」と述べる。

 「最終的に、キヤノンの技術が最先端ロジックをサポートできるだけの十分な堅牢性と成熟度を持つことが実証された場合、米国が日本政府と連携して、中国に対する輸出規制の範囲内に同技術を追加するであろうことは間違いないだろう」(Gupta氏)

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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