データセンター需要低迷が打撃に、生成AIの波も「まだ」レゾナック決算:販売数量落ち込みで減収減益
レゾナック・ホールディングスの2023年12月期第3四半期累計(2023年1〜9月)売上高は前年同期比918億円減の9423億円だった。データセンター需要の低迷や半導体生産調整の影響を受けた。営業損失は43億円の赤字となった。
レゾナック・ホールディングス(以下、レゾナック)は2023年11月9日、2023年12月期第3四半期(2023年7〜9月)の決算説明会を行った。
2023年1〜9月の累計売上高は前年同期比918億円減の9423億円だった。累計営業損失は43億円の赤字で、前年同期比591億円の減益となった。半導体・電子材料セグメント、特にデータセンター向けのハードディスク(HD)メディア事業の販売数量の大幅な落ち込みによる減収が、減益の主因だ。
生成AI関連の需要「大きな波にはなっていない」
セグメント別では、2023年1〜9月は半導体・電子材料セグメントの売上高が前年同期比27%減の2417億円、営業損益は同530億円減となり、125億円の赤字に転落した。
売上高の内訳をみると、半導体前工程材料は生産調整の影響で、同21%減の576億円となったほか、半導体後工程材料は、足元では需要の持ち直しの傾向が見られるものの、同20%減の1166億円となった。
デバイスソリューションは、HDメディアのデータセンター向け需要低迷が続き、同49%減の431億円と大幅に減収した。ただ、SiCエピタキシャルウエハーは出荷数量増で増収となっている。
レゾナックの常務執行役員 CFO(最高財務責任者)の染宮秀樹氏はこの結果について「コロナ禍のテレワーク需要によって起こっていた『データセンターバブル』が剥落した」と語り、今後高まっていくとみられる生成AI(人工知能)関連の需要についても「まだ市場全体をけん引できるほどの大きな波にはなっていない」と現時点での見解を述べた。
モビリティセグメントでは売上高は前年同期比2%減の1316億円となったが、特に北米地域での自動車生産の回復したことによる自動車部品の増収および、不採算製品対策効果などによって営業損益は同15億円増となり、黒字転換した。
イノベーション材料セグメントでは、販売数量の減少によって売上高は前年同期比10%減の955億円となったものの、原材料価格高騰に伴う値上げによって販売価格が上昇し、営業利益は同9%増の83億円となった。
ケミカルセグメントでは、石油化学製品や化学品では増収増益となったものの、黒鉛電極は受払差のマイナス影響で減益となった。全体の売上高は前年同期比2%増の3847億円、営業利益は同47%減の102億円だった。
通期業績予想は上方修正、「収益構造の改革続ける」
通期業績予想は、売上高、営業損益ともに上方修正した。売上高は前回予想比200億円増の1兆2900億円、営業損益は同80億円改善で120億円の赤字と予想した。染宮氏は「レゾナックの業績の底は2023年第1四半期(2023年1〜3月)で、第2四半期(2023年4〜6月)以降は徐々に回復傾向にあるが、依然として需要の回復は力強さを欠いている」と分析。「低採算事業へのテコ入れを含む収益構造の改革、事業ポートフォリオの継続的な見直しを着実に進めていく」とした。
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