5年以内にマシン事業と同規模を目指す、トルンプのエレ事業戦略:新拠点設立で国内サポートを強化
トルンプ(TRUMPF)は2023年10月27日、エレクトロニクス事業を拡大し、5年以内にマシン事業と同規模を目指すと発表した。同年12月には、日本国内でのサポート充実に向け、現行の3倍のキャパシティーを持つ新サービス拠点(仙台市)を設立する。
ドイツの板金加工機大手メーカーTRUMPFの日本法人であるトルンプは2023年10月27日、都内で会見を開き、エレクトロニクス事業の国内事業拡大に向けた戦略や取り組みを説明した。5年以内に主力事業のマシン事業と同規模の事業に拡大することを目標として、2023年12月には、現行の3倍のキャパシティーを持つ新サービス拠点「宮城テクニカルセンター」(仙台市)を開設し、2024年6月までに大幅な人員拡充を行う。
TRUMPFは2023年、創業から100周年を迎えた。現在は、世界で約70拠点を構え、1万8000人以上が所属している。2023年6月期(2022年7月〜2023年6月)の売上高は54億ユーロで、約半分を板金加工機などのマシン事業、約3割をレーザー発振器や周辺機器などのレーザー事業、残りの2割をエレクトロニクス事業が占めている。TRUMPFはエレクトロニクス事業の強化を図っていて、その一環として2019年に、電源を扱っていた子会社のTRUMPF Huttingerを吸収合併した。合併から約4年で、エレクトロニクス事業の売上高は、約10倍に成長した。
そして今回、日本でもエレクトロニクス事業の強化を加速する。トルンプの社長を務める高梨真二郎氏は、「エレクトロニクス分野は、ここ数年で大きく成長している。半導体IC市場は、2030年には2020年比で倍に成長する予想だ。主力事業であるマシン事業には今後も注力するが、年10%の成長は期待できない。最も成長が見込めるエレクトロニクス分野を、次の事業の柱に据えた。これは、日本もグローバルも同じ考えだ」と語った。
TRUMPFのエレクトロニクス事業は、プラズマ表面処理技術や産業用加熱ソリューションを提供している。プラズマ表面処理技術では、8割が半導体製造装置向けで、SiC(炭化ケイ素)エピ装置で使われることが多いという。地域別の売上高では、中国向けが最も多く、欧州向け、米国や日本向け、韓国向けと続く。
今後の日本での取り組みについて、トルンプ エレクトロニクス事業部 事業部長の村上晃永氏は「数億円規模の投資を行い、2023年12月に宮城テクニカルセンターを新設する。今回の宮城テクニカルセンターは、自社直轄のローカルサポート拠点だ。外資系メーカーが、テクニカルセンターを日本に設置することは珍しいため、本気度の表れだと受け取ってほしい。今後は、新拠点を軸に、日本国内のローカルサポートを強化していく」と述べ、仙台市に決めた理由については「現状よりも規模を拡大できて、自社の拠点として設置できる場所が偶然、仙台市だった。加えて、日本国内で一番大きい顧客が仙台にいるため、その点も都合がよかった」と説明した。なお、現行のサービスセンターである「エレクトロサービスセンター」(川崎市)は、宮城テクニカルセンターの開設に伴い閉鎖するという。
トルンプは、「SEMICON Japan 2023」(2023年12月13〜15日/東京ビッグサイト)に初出展する。会場では、VHFジェネレーターやDCジェネレーターなどのプラズマ励起用ジェネレーターを紹介する。ブース番号は「3838(3ホール)」。
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