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長瀬産業ら、半導体製造で使用済み現像液を再利用:TMAH廃液を回収して再生
長瀬産業とナガセケムテックス、Sachemの3社は2023年11月、半導体製造に用いられる高純度現像液の回収および再生事業を展開すると発表した。このため3社の合弁会社である「SN Tech」は、東大阪に新工場を設立する。
電解・精製技術を導入した新工場を東大阪に設立
長瀬産業とナガセケムテックス、Sachemの3社は2023年11月、半導体製造に用いられる高純度現像液の回収および再生事業を展開すると発表した。このため3社の合弁会社である「SN Tech」は、大阪に新工場を設立する。
半導体チップを製造する工程の中で、シリコンウエハーに回路を形成するフォトリソグラフィ工程では、高純度現像液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)が用いられる。ただ、使用したTMAH廃液の回収、再生を行うには高度な電解/精製技術が必要となるため、再利用するのはこれまで難しいといわれてきた。
SN Techは、液晶パネルの製造工程で排出される現像液廃液の回収/再生事業を2008年から行ってきた。今回は、これまで培ってきた技術力とノウハウを生かしつつ、新工場に電解/精製技術を導入することで、再利用に向けた課題を解決した。使用済みTMAH廃液を回収、再生し、TMAHとして再利用する取り組みは国内初の事例だという。
SN Techは今後、日本国内で年間1万トンの高純度現像液を製造する計画である。将来は国内だけでなく海外展開も視野に入れている。さらに、現像液の廃液を原料として回収するプラント「Green Mobius System」の製造と販売も、半導体工場向けに行っていく予定である。
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