半導体製造装置は「数年ごとに必ずチャンスが訪れる」分野、日本勢に期待:SEMIジャパン 浜島雅彦氏(2/2 ページ)
2023年12月13〜15日の3日間にわたり開催される「SEMICON Japan 2023」。開幕を前に、SEMIジャパン代表取締役の浜島雅彦氏に、今回の注目ポイントや、半導体製造装置業界の動向を聞いた。
半導体製造装置の分野は「常にチャンスがある」世界
――日本の半導体製造装置業界については、いかがでしょうか。日本が強いといわれる分野ですが、経産省が2023年6月に改訂した「半導体・デジタル産業戦略」には、露光装置や成膜装置など、市場規模が大きな分野のシェアは、米国とオランダが占めていることを示す資料もありました。
浜島氏 長期的に見ると、日本の半導体製造装置メーカーはシェアを落としていて、これには日本の各メーカーも危機感を持っているはずだ。
半導体製造プロセスは、世代が変わると、材料も装置も全て新しいものに切り替わる。これは、「半導体製造分野の競争は、(プロセスノードが進化するタイミングである)3年に一度、必ずリセットがかかる」ということでもある。材料も装置も世代ごとに選定されるので、もたもたしていると、次の世代では簡単に候補から外されてしまう。製造装置メーカーは、常にそうした緊張感や危機感を持っている。
裏を返せば、「選ばれるチャンス」は3年ごとにやってくるということだ。数年先を見据えてマーケティングを行い、技術開発の照準をしっかり定め、ニーズに沿った製品をリリースすることが、何よりも重要になる。それができるだけの基礎技術を、日本は持っている。
一方で、エポックメイキングな装置の開発は、米国やオランダに後塵を拝している。CMP(化学的機械研磨)の技術を最初に導入したのは米国だった。EUV(極端紫外線)リソグラフィ装置も、ニコンやキヤノンは開発を断念してしまった。
とはいえ、前述した通り、半導体製造装置は3年ごとに“競争の窓”が開く業界だ。日本が得意な「顧客要望を聞く力」を生かし、最適なタイミングで、最適な製造装置を開発できれば、チャンスは広がっていくだろう。特に製造装置は、価格ではなく、「できるか否か(作れるか否か)」で判断される。技術開発の成果がビジネスに直結する世界だ。厳しいけれど面白い産業でもある。勝ち続けるチャンスも、逆転するチャンスも常にあるので、日本メーカーにも前進していってもらいたい。
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