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大阪公立大ら、有害物質から有用な化合物を合成PFASを含フッ素NHCに変える

大阪公立大学と大阪大学の共同研究グループは、「パーフルオロアルケン」から、「含窒素ヘテロ環カルベン(NHC)」と呼ばれる、窒素が結合した一重項カルベンを含む環状化合物を、簡便に合成する手法を開発した。

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立体環境の変化を抑え、電子受容性が高いNHCを実現

 大阪公立大学大学院理学研究科の大橋理人教授や道上健一助教と、大阪大学大学院工学研究科の生越専介教授らによる共同研究グループは2023年11月、「パーフルオロアルケン」から、「含窒素ヘテロ環カルベン(NHC)」と呼ばれる、窒素が結合した一重項カルベンを含む環状化合物を、簡便に合成する手法を開発したと発表した。

研究の概要
研究の概要[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学他

 パーフルオロアルケンは、パーフルオロアルキル化合物(PFAS)の一種。PFASは撥水性や撥油性、化学的安定性、耐熱性に優れる半面、難分解性が極めて高い。このため、大気中にパーフルオロアルケンが拡散され、これを吸入すると生体内に蓄積されて健康を害する恐れがあることから、課題となっていた。

 これに対しNHCは、錯体化学や触媒反応化学、材料化学の分野で多くの革新をもたらすなど、極めて有用な化合物である。NHCの環骨格にさまざまな置換基を導入でき、「電子状態」と「立体環境」を独立に制御することが可能だという。

 今回合成したのは、電気陰性度が最大でサイズも小さいフッ素原子を多数持った「含フッ素NHC」である。テトラフルオロエチレンやヘキサフルオロベンゼンといった1,2-ジフルオロアルケン類縁体から2つのフッ素原子を脱離させることで実現した。

 しかも、NHCにおける立体環境の変化を最小限に抑えながら、カルベンの電子受容性を高めることにも成功した。また、含フッ素NHCは従来のNHCと比べ、触媒の活性を向上させることを実証した。

「パーフルオロアルケン」から「含フッ素NHC」を合成するまでの過程
「パーフルオロアルケン」から「含フッ素NHC」を合成するまでの過程[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学他

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