TSMCの23年Q4決算は19%減益、売上高の15%は3nm世代に:日本の第2工場は「政府と協議中」
TSMCが2023年第4四半期の決算を発表した。売上高は6255億3000万ニュー台湾ドルで、前四半期比では14.4%増だった。純利益は2387億1000万ニュー台湾ドルで、前年同期比で19.3%減少した。
TSMCは2024年1月18日、2023年第4四半期(10〜12月期)の決算を発表した。売上高は6255億3000万ニュー台湾ドル(約2兆9475億円/196億2000万米ドル)で、前年同期と同等、前四半期比では14.4%増となった。純利益は2387億1000万ニュー台湾ドル(約1兆1248億円)で、前年同期比19.3%減、前四半期比13.1%増だった。売上総利益率は53.0%、営業利益率は41.6%だった。
2023年第4四半期の売上高を製造プロセスノード別に見ると、5nm世代が全体の35%と最大を占め、続く7nmが17%、3nmが15%だった。第3四半期には全体の6%だった3nm世代の割合が大きくなり、最先端の3nm/5nm世代で全体の50%を占めた。
2023年全体で見ると、5nm世代が全体の33%、7nmが19%で、3nmは6%だった。2022年には7nmが全体の27%と最大を占めていたが、3nm世代の登場後は割合が縮小していることが見て取れる。
用途別では、2023年第4四半期はHPC(高性能コンピューティング)とスマートフォンがいずれも全体の43%で、この2つの用途が大部分を占めた。IoT(モノのインターネット)とオートモーティブはそれぞれ全体の5%だった。前四半期比の成長率はスマホが27%増、HPCが17%増と大きく成長した。
2023年全体では、HPCが43%、スマホが38%を占めた。前年比での成長率はHPCが±0%、スマホは8%減で、オートモーティブが15%増となった。
2024年第1四半期の見通しについては、売上高は180億〜188億米ドルと、2023年第4四半期よりも減少するとした。また、売上総利益率は52〜54%、営業利益率は40〜42%と見込む。
2024年1月18日に実施された投資家向け説明会では、熊本県菊陽町に建設中の新工場について、2024年2月24日に開所式を行うことを明らかにした。メディアやアナリストからの「TSMCが日本に第2/第3の工場を建設するという報道がある」という指摘に対しては、TSMC会長のMark Liu氏が「まだ公表しているものはない」と回答。「第2工場については、日本政府と協議している。日本政府は協力的だ」と説明し、第2工場を建設する場合、導入する製造プロセスは「7nmか16/12nm世代になるだろう」とした。
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