Intelと台湾UMCのファブ提携で知っておくべきこと:両社の狙いを掘り下げる(2/2 ページ)
IntelとUMCが12nmプロセスの開発/製造で戦略的提携を発表した。両社はこの協業によって何を得るのだろうか。本稿では、この半導体製造パートナーシップの動機について掘り下げていく。
UMCにとってのメリット
1990年代、ファブレス企業が増加する中、専業ファウンドリーとして市場をけん引したUMCは、最先端プロセスノードのバトンをTSMCに手渡し、最終的に成熟プロセスに集中するようになった。現在、顧客半導体メーカーの数は400社を超える。
台湾の新竹市に拠点を置くUMCは、IFSとの戦略的提携によって、米国のファブレス顧客との関係を強化し、成熟ノードにおいてTSMCに対する競争力を高められるようになる。
さらに、UMCは、新たに製造拠点を構築したり高度な装置を調達したりせずに、12nmプロセス技術へのアクセスを確保できる。ただ、同社は、アリゾナのFab 12とFab 22、Fab 32に専用装置の一部を設置することを明言している。UMCが現在保有している最先端ノードは14nmだが、Intelと12nmを共同開発することによって、より微細な半導体製造プロセスに関するノウハウを蓄積できる。将来的には、台湾の工場にも12nm以降のノードに向けた新たな道を開くことになるだろう。
ファウンドリー市場の再編
ファウンドリー事業は、Texas Instrumentsの元経営幹部だったMorris Chang氏が1987年に、Philips Electronicsから大規模投資を受けて業界初となる専業ファウンドリーTSMCを設立して以来、絶え間なく発展してきた。すぐにUMCがその後を追って競争に参加し、やがてTSMCとUMCはファブレス半導体というビジネスモデルにとって不可欠な存在となった。
最先端プロセスノードでCPUを製造し、新たなチップ製造技術に急速に移行しているIntelは、2021年にIFSを立ち上げ、ファウンドリー事業でのシェア獲得を進めることを宣言した。IFSの技術的/ビジネス的な是非は別にしても、一つはっきりしていることがある。それ以来、ファウンドリー市場が絶えず再編されているということだ。
それは、Intelが半導体世界最大の垂直統合型デバイスメーカー(IDM)だからでもある。ただ、TowerやUMCとの戦略的提携も、Intelを有力なファウンドリープレーヤーへと変貌させるものだ。Intelは、UMCとの提携によって、米国内の大規模なチップ製造能力をより有効に活用できるようになると同時に、地域的に多様で弾力性のあるサプライチェーンを構築可能になる。
さらに重要なことは、Intelが多額の設備投資をすることなくこれを実現するということだ。UMCにとっても同様で、FinFET製造技術に関する切望されていた専門知識を得るだけでなく、北米の半導体顧客に対する戦略的アクセスも得られることになる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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