リフローはんだ実装可能、車載対応の「半固体電池」:独自技術で耐熱性を向上
日本ガイシは「オートモーティブワールド2024」にて、「半固体電池」として展開するリチウムイオン二次電池やベリリウム銅合金などの車載向け技術を展示した。
日本ガイシは「オートモーティブワールド2024」(2024年1月24〜26日、東京ビッグサイト)にて、「半固体電池」として展開するリチウムイオン二次電池やベリリウム銅合金などの車載向け技術を展示した。
高出力/高耐熱でリフローはんだ実装も可能な「半固体電池」
日本ガイシのリチウムイオン二次電池「EnerCera」(エナセラ)は、セラミック製の積層電池部材に微量の電解液を染み込ませる構成から「半固体電池」として展開している。
正極には独自開発の「結晶配向セラミックス正極板」を使用している。日本ガイシの焼結技術を生かして結晶の向きをそろえたもので、リチウムイオンが活物質内を移動しやすく高出力になるという利点がある。有機バインダーを含まないため耐熱性も高い。
ラインアップはパウチ型とコイン型をそろえている。パウチ型は厚さ0.45mmと薄型で、容量は 20mAh〜27mAh。曲げ/ねじり試験を行っていて、ウェアラブル機器やカード型機器などにも搭載できるという。
コイン型の「ET1210C-H」は作動温度が−20〜105℃と車載用途にも対応している。サイズは12.5mm(端子は含まない)で、容量は4mAh。リフローはんだ実装も可能なので、生産効率を高めることができる。日本ガイシは車載用途では内装やタイヤセンサーへの使用を想定しているという。
導電性と強度を両立するベリリウム銅合金
日本ガイシが手掛けるベリリウム銅合金は、加工のしやすさや導電性の高さといった銅の特長を生かしながら、数パーセントのベリリウムを添加することで高い強度を実現している。
ベリリウム銅合金は強度と導電性の高さを両立できることから、日本ガイシは電気自動車(EV)向けの給電端子などでの使用を想定している。同社の担当者は「ステンレスなどは強度が高いが導電性が低い。銅は導電性が高いが強度が低い。銅合金でステンレスに匹敵する高強度のものはベリリウム銅がほぼ唯一だ」と自信を見せた。
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