線幅サブミクロンも視野に パッケージ向け露光装置でウシオとAppliedが協業:大型化と微細配線の要求に応える(2/2 ページ)
ウシオ電機とApplied Materialsは2023年12月、戦略的パートナーシップの締結を発表した。両社が「DLT(Digital Lithography Technology)」と呼ぶ、半導体パッケージ基板向けの新しいダイレクト露光装置を早期に市場に投入し、大型化や配線の微細化など半導体パッケージ基板への要求に応えることを目指す。
線幅2μmのパターニング製造の実証が進む
ウシオ電機とAppliedによれば、量産に対応できるDLTが、既に複数の先行顧客に出荷されていて、ガラスなどのパッケージ基板上で、線幅2μmのパターニング製造の実証が行われているという。
今回の協業では、Appliedが装置の開発を担当し、ウシオ電機が製造、販売、顧客サポートを担当する。ただし、ウシオ電機のグループ執行役員で事業統括本部Photonics Solutions GBU長を務めるWilliam F. Mackenzie氏によれば、「明確に線引きしているわけではなく、お互いの強みを生かして柔軟に対応していく」という。
「Appliedは半導体製造において強い基礎技術を持っている。ウシオ電機は何十年もリソグラフィ分野に関わってきた。両社の技術の“いいとこ取り”をすることで、最先端の半導体パッケージのTime to Marketを早めることができると確信している」(Applied Materialsのグループバイスプレジデント兼セミコンダクタ プロダクトグループ ジェネラルマネージャーのSundar Ramamurphy氏)
両社の調べによると、先進パッケージ基板向け露光装置の市場規模は、2025年の2億5000万米ドルから年平均成長率(CAGR)25%以上で成長し、2030年には8億米ドルに達する見込みだという。
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