GaN搭載で小型化したオムロン製V2X充電システム、インフィニオンが展示:買収したGaN Systemsの製品も披露
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、「第1回 パワーデバイス&モジュール EXPO」(2024年1月24〜26日/東京ビッグサイト)に出展し、同社製のGaN(窒化ガリウム)パワーデバイスを採用したオムロン ソーシアルソリューションズのマルチV2X(Vehicle to X)充電システムや、GaN/SiCパワーデバイスを搭載したOBC(オンボードチャージャー)などの幅広い製品群を展示した。
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン(以下、インフィニオン)は、「第38回ネプコンジャパン」(2024年1月24〜26日/東京ビッグサイト)の構成展として初めて開催された「第1回 パワーデバイス&モジュールEXPO」に出展した。
同社ブースでは、インフィニオン製のGaN(窒化ガリウム)ソリューションを採用したオムロン ソーシアルソリューションズ(OSS/以下、オムロン)のマルチV2X(Vehicle to X)充電システム「KPEP-Aシリーズ」を展示した。なお、Infineon TechnologiesとOSSは2024年1月16日、V2X充電システムで協業することを発表している。
KPEP-Aシリーズは、住宅(蓄電池)とEV(電気自動車)間で双方向の給電が可能だ。インフィニオンのGaN HEMT『CoolGaN IGOT60R042D1』を16個、GaN用ゲートドライバーIC『EiceDRIVER 1ED3122MU12H』を16個搭載していて、「GaNを採用することでサイズおよび重量をオムロンの従来製品比で60%削減した」(ブース担当者)という。出力電力は約6kW。通常時はEVへの給電用として利用し、災害時/停電時などには自動車を非常用電源として活用できる。
ブース担当者は「オムロンがマルチV2X充電システムでGaNを採用するのは今回が初めてだ。GaNを採用したことより、電力効率の向上や、コンデンサーやインダクターなどの受動素子の大幅な小型化に成功した」と語った。
買収したばかりのGaN Systems製のOBCも展示
インフィニオンは、同社製のSiC/GaNを採用したOBC(オンボードチャージャー)や、Infineon Technologiesが2023年10月に買収したGaN Systems製のGaNを採用したOBCのデモボードを展示した。
インフィニオン製SiC OBCは、上面放熱のQDPAKに封止した「CoolSiC」とマイコン「AURIX TC3xx」制御により基板の面積を削減し、高い電力密度を実現した単相7kWのOBCリファレンスデザインだ。ブース担当者は「SiCを採用することで、電力密度を向上させつつ、従来のシリコンパワーデバイスを用いた場合と比較して一回り小型化できた」と述べた。
インフィニオン製GaN OBCは、QDPAKを採用した「CoolGaN」を搭載した3相10kWのリファレンスデザインだ。ピーク効率は96%。マルチレベルコンバーターの採用により、250〜1000VDCの広いバッテリー電圧に対応する。ブース担当者は「GaNを採用することで、力率改善回路(PFC)を650kHzで駆動できるので、小型の受動部品を使用できる」と説明した。
GaN Systems製GaN OBCは、800VシステムのEV向けに設計された3相11kW双方向OBCのリファレンスボードだ。GaNを採用することで、サイズを従来比で36%、BOM(Bill of Materials)コストを18%それぞれ削減した。
ブース担当者は、3種類のOBCを展示した狙いについて「今回の展示は、インフィニオンの持つ製品群の広さをアピールするためのものだ。一言でOBCといっても、各国の電力供給の状況や自動車メーカーの方針によって求められる技術/製品が異なる。満遍なく技術/製品を取りそろえることで、顧客の要望に応え、設計の自由度を提供することができる」と語った。
GaN Systemsは、カナダのオタワに本社を置く2008年設立のGaNパワーデバイス専門メーカーだ。Infineon Technologiesは、Gan Systemsの買収により、350以上のGaNパワーデバイス関連IP(Intellectual Property)および、450人以上のR&D部隊を有する企業になった。
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