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GaN HEMTの出力密度を2倍に、住友電工が開発新開発の結晶技術を採用

住友電気工業は、新たに開発した結晶技術を用いることで、出力密度を従来の2倍に高めた窒化ガリウムトランジスタ(GaN HEMT)を開発した。ポスト5G基地局向け増幅器の小型化と高性能化が可能となる。

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2A/mmを超える最大電流で60V以上の耐圧を達成

 住友電気工業は2023年11月、新たに開発した結晶技術を用いることで、出力密度を従来の2倍に高めた窒化ガリウムトランジスタ(GaN HEMT)を開発したと発表した。ポスト5G(第5世代移動通信)基地局向け増幅器の小型化と高性能化が可能となる。

 住友電工は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進める「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」を受託し、2020年度より高出力増幅器の開発に取り組んできた。その一環として、新規結晶技術を用いたGaN HEMTの開発を進めてきた。

 GaN HEMTにはこれまで、Ga極性を用いるのが一般的であった。N極性もGaN HEMTのさらなる高周波化と高出力化を実現するための技術として注目されている。しかし、結晶欠陥が生じやすいことやゲート絶縁膜が必要なことが、実用化の障壁となっていた。

 住友電工は今回、「ヒロック」と呼ばれる結晶欠陥がない、高品質のN極性結晶を開発した。また、電子を供給するバリア層などの最適化に取り組み、シート抵抗が250Ω/□と極めて小さい結晶成長を実現した。さらに、n+GaN(高濃度n型ドープGaN)を形成する技術を開発し、オーミック電極の接触抵抗を0.13Ωmmに抑えることができた。そして、ハフニウム(Hf)系ゲート絶縁膜の高品質化技術と組み合わせたことで、GaN HEMTの出力密度を飛躍的に向上させた。

左はGa極性を用いたGaN HEMT、右はN極性を用いたGaN HEMTの構造例
左はGa極性を用いたGaN HEMT、右はN極性を用いたGaN HEMTの構造例[クリックで拡大] 出所:住友電工、NEDO

 新たに開発したN極性GaN HEMTについて、その電流電圧特性や高周波特性、出力密度などを調べた。この結果、2A/mmを超える最大電流で60V以上の耐圧を達成するなど、大電流と高耐圧を両立させた。また、高周波特性は測定周波数28GHzにおいて最大出力29.8dBmが得られた。トランジスタのゲート幅換算だと12.8W/mmの最大出力密度になるという。

N極性GaN HEMTの電流電圧特性(左)と高周波特性(右)
N極性GaN HEMTの電流電圧特性(左)と高周波特性(右)[クリックで拡大] 出所:住友電工、NEDO

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