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プロセッサやメモリなどの進化を支えるパッケージ基板福田昭のデバイス通信(447) 2022年度版実装技術ロードマップ(71)(1/2 ページ)

今回は第3章第4節第8項(3.4.8)「パッケージ基板」の概要を説明する。パッケージ基板の変遷と、パッケージ基板に対する要求仕様のロードマップを解説する。

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用途別に改良が進むパッケージ基板

 電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。

 本シリーズの第66回から、第3章第4節(3.4)「パッケージ組立プロセス技術動向」の内容説明に入った。第3章第4節は、第1項から第9項までの9個の項目で構成される。内容は、パッケージを組み立てるための要素技術の説明である。

 前回は第3章第4節第6項(3.4.6)「電磁シールド」の概要を報告した。今回は第3章第4節第8項(3.4.8)「パッケージ基板」の概要をご説明する。

第3章第4節(3.4)「パッケージ組立プロセス技術動向」の主な目次
第3章第4節(3.4)「パッケージ組立プロセス技術動向」の主な目次。第3章第4節第8項(3.4.8)「パッケージ基板」の詳細を示した。この目次は「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)から筆者がまとめたもの[クリックで拡大]

 第3章第4節第8項(3.4.8)「パッケージ基板」は、以下の4つの項目で構成される。「3.4.8.1 コンシューマ電子機器」「3.4.8.2 メモリ」「3.4.8.3 高性能電子機器」「3.4.8.4 厳環境用途」、である。用途別にパッケージとパッケージ基板の進化を説明した。

パッケージ基板の変遷

 半導体パッケージの基板は、大別すると4世代にわたってパッケージ技術とともに変化してきた。はじめ(第1世代)はセラミックパッケージである。セラミック基板に半導体のベアチップを搭載し、気密封止していた。次の世代(第2世代)がプラスチックパッケージである。リードフレーム(金属板)のダイパッドにベアチップを搭載し、モールド樹脂で封止していた。1980年代にはセラミックパッケージからプラスチックパッケージへの世代交代が進んだ。プラチックパッケージでは基板の代わりをダイパッドが担う。基板レスとも言える。

 1990年代に入ると、プラスチックパッケージが大きく変化する。エリアアレイタイプとも呼ばれる、第3世代のパッケージ技術が登場し、普及を始めた。樹脂基板にベアチップを搭載し、基板のベアチップ側(上側あるいは表面側)をモールド樹脂で封止する。基板の反対側(下側あるいは裏面側)には2次元マトリクス状にはんだボールの外部電極を配置した。代表的なパッケージがプラスチックBGA(Ball Grid Array)である。

 第2世代と第3世代では、外部電極のレイアウトが大きく違う。第2世代では外部電極をパッケージ本体の側面あるいは裏面に1列に並べていた。インライン(挿入実装型の場合)あるいはアウトライン(表面実装型の場合)と呼ばれる。外部電極はパッケージ本体の側面から細長いピン(アウターリードとも呼ぶ)のように飛び出していることが多い。

 第3世代では外部電極はピンではなく、球状電極(ふつうは「はんだボール」と呼ばれる球状のはんだ)を2次元の正方行列状あるいは千鳥行列状に配置する。当然ながら、電極の密度(面密度)は第2世代に比べて大きく向上する。言い換えると同じ外部電極数でも第3世代は第2世代に比べてパッケージ本体が小さくなるし、同じ本体寸法であれば収容可能な外部電極数が大幅に高まる。

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