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プロセッサやメモリなどの進化を支えるパッケージ基板福田昭のデバイス通信(447) 2022年度版実装技術ロードマップ(71)(2/2 ページ)

今回は第3章第4節第8項(3.4.8)「パッケージ基板」の概要を説明する。パッケージ基板の変遷と、パッケージ基板に対する要求仕様のロードマップを解説する。

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エリアアレイ用樹脂基板と中間基板

 プラスチックBGAでもプロセッサなどの高性能ベアチップを収容する場合は、特殊な樹脂基板を使う。標準的なプラスチックBGAはベアチップと樹脂基板をワイヤボンディングで接続する。信号周波数の高いベアチップでは寄生素子の大きなワイヤボンディングではなく、寄生素子の小さなフリップチップによって樹脂基板と接続する。

 高性能プロセッサのBGA用樹脂基板にはビルドアップ基板を採用することが多い。ビルドアップ基板とは通常のガラスエポキシ樹脂配線基板(コア基板)の表裏に小径ビアの多層配線層を積み上げた基板であり、高速信号かつ電極数(ベアチップの電極パッド数)が多いチップに適している。

 また最近では、「中間基板(インターポーザ)」と呼ぶサブ基板に複数のベアチップを搭載し、外部電極を備えたメイン基板(パッケージ基板)と中間基板をバンプで接続する構造が開発された。高性能マルチチップのパッケージに使われている。これを便宜上「第4世代」と呼ぶ。インターポーザの材料は半導体と同じシリコンであることが多い(参考記事:「TSMCの高性能・高密度パッケージング技術「CoWoS」(前編)」)。

用途別に要求仕様のロードマップを策定

 「2022年度版 実装技術ロードマップ」では、用途別にパッケージ基板への要求仕様を2031年までのロードマップとして予測した。用途別基板は「コンシューマ機器用パッケージ基板(ビルドアップ基板)」「メモリ用パッケージ基板」「厳環境電子機器用パッケージ基板」である。コンシューマ機器用はコア基板があるので基板全体の厚みが200μmを超える。その代わり、ビルドアップ層のビア径は40μm前後と狭い。メモリ基板は厚みが70μm前後と薄いものの、ビア径は60〜50μm、ビアピッチは120μm前後とそれほど微細ではない。

コンシューマ機器用パッケージ基板(ビルドアップ基板)の要求特性予測(2021年〜2031年)
コンシューマ機器用パッケージ基板(ビルドアップ基板)の要求特性予測(2021年〜2031年)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
メモリ用パッケージ基板の要求特性予測(2021年〜2031年)
メモリ用パッケージ基板の要求特性予測(2021年〜2031年)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

 厳環境電子機器用基板は、耐熱性と剛性に関する要求が高い。耐熱温度は175℃以上、ガラス転移点(Tg)は260℃以上に達する。また剛性はヤング率で35GPa前後が要求される。

厳環境電子機器用パッケージ基板の要求特性予測(2021年〜2031年)
厳環境電子機器用パッケージ基板の要求特性予測(2021年〜2031年)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

⇒(次回に続く)

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