バンプピッチ15μmのウエハーなどを展示、「JOINT2」が研究の進捗を報告:SEMICON Japan 2023
次世代半導体パッケージ実装技術の開発を目指すコンソーシアム「JOINT2」は、「SEMICON Japan 2023」(2023年12月13〜15日/東京ビッグサイト)で、取り組みの内容や研究開発の進捗を紹介した。
「SEMICON Japan 2023」(2023年12月13〜15日/東京ビッグサイト)のレゾナックブースでは、次世代半導体パッケージ実装技術の開発を目指すコンソーシアム「JOINT(ジョイント/Jisso Open Innovation Network of Tops)2」の取り組みの内容や研究開発の進捗が展示された。
JOINT2は、次世代半導体の実装技術や評価技術を確立すべく、レゾナックが中心となって2021年に設立したコンソーシアムだ。レゾナックの他、味の素ファインテクノ、上村工業、荏原製作所、新光電気工業、大日本印刷、ディスコ、東京応化工業、ナミックス、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ、メック、ヤマハロボティクスホールディングス、そして、2023年6月に加入したオーク製作所が参画している。JOINT2は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発」として活動している。
JOINT2は、垂直接続技術を開発する「微細バンプ接合技術の開発」、平面接続技術を開発する「微細配線技術の開発」、「高信頼性大型基板技術の開発」の3つのワーキンググループで構成されている。
「微細バンプ接合技術の開発」では、縦方向の高密度実装の実現に向けて、バンプピッチの微細化を進めている。2023年時点で、15μmのバンプピッチを実現していて、2024年には10μmの実現を目指している。
「微細配線技術の開発」では、ICチップなどの部材を、高密度に形成された金属配線によって平面方向に接合する技術を開発している。2025年には、L/S(ライン/スペース)を1/1μmまで微細化することを目指していて、「現在は1.5/1.5μmまで実現している」(レゾナック)という。
「高信頼性大型基板技術の開発」では、140mm角のICパッケージ基板の開発を目指している。半導体ICの高性能化や高集積化に伴い、大型のICパッケージ基板への要求が強くなっている。しかし、信頼性の高い大型パッケージ基板の製造は容易ではない。レゾナックの担当者は「基板製造の技術を応用することで、現在は120mm角まで実現している」と語った。
レゾナック パッケージングソリューションセンター センター長の畠山恵一氏は、「JOINT2は、日本の強みである半導体実装材料や装置、基板の開発において国内トップレベルの技術力を持つ企業を集めたコンソーシアムだ。参画企業の中には、事業分野では競合している企業もあるが、技術では競合しないようにコンソーシアムを構成している。発足当初は情報や技術の開示レベルを各社が探り合う期間もあったが、現在はそうした課題は解消され、研究も順調に進捗している」と語った。
一方、JOINT2の今後の課題について同氏は「現在は、あくまでも参画する13社のみのクローズなコンソーシアムだ。今後、オープンなコンソーシアムにできれば、本当の意味で日本の強みの強化につながるだろう」と語った。
「共創」をテーマに掲げるレゾナック
レゾナックは、2023年1月の社名変更(旧:昭和電工マテリアルズ)以来、他企業との「共創」の重要性を特に強調している。
「共創」を象徴する場として、「パッケージングソリューションセンター(以下、PSC)」が挙げられる。材料/製造装置メーカーとの共創により、2.5次元/3次元パッケージングなどの先端プロセス技術や材料技術の研究開発を行うオープンイノベーション施設だ。レゾナックは、2019年に川崎市に「新川崎PSC」を設立した他、2023年11月には、米国シリコンバレーにもPSCを設立すると発表した。
レゾナックのブースでは、PSCの活動実績や、JOINT2の前身である「JOINT」の研究成果なども展示された。
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