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高効率の直流電源 省部品で高昇圧、低ノイズを実現:燃料電池や環境発電などに適用(2/2 ページ)
神戸大学と国立中興大学(台湾)の研究グループは、受動部品の削減が可能で、高い昇圧能力と低ノイズを実現した「高効率直流電源」を開発した。燃料電池や環境発電、医療機器などで用いられる電源装置に適用していく。
放射性ノイズを最大80%低減
パワー半導体デバイスからの放射性ノイズも測定した。ソフトスイッチングを採用したことで、ハードスイッチングに比べ放射性ノイズを20〜80%も低減できた。動作周波数に対する入出力電圧比は、より高昇圧を全領域で達成。基本系回路と比べ最大16倍の電圧比を実現したという。
さらに、負荷率86%(104W、1.5MHz)での実測電力変換効率は91.3%となった。この値はMHz駆動で高昇圧比タイプの製品として、かつてない電力変換効率だという。電力密度は39W/in3となった。起動10分後における実装部品の発熱状態をサーモグラフィーで計測しても、その温度分布からパワー半導体デバイスでの損失が抑制されていることを確認した。
今回試作したのは電力容量が100Wクラスだが、今後はkWクラスへの対応と電力密度100W/in3を目指す考えである。
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