受託開発の内容を「メニュー」としてサービス化、日立が本格展開:FPGAへの置き換えやEOL対策など(3/3 ページ)
日立情報通信エンジニアリングが、受託開発サービスを「メニュー」として体系化したサービスの展開に本腰を入れている。提供するサービスをある程度固定化し、「メニュー」として用意することで、顧客の開発効率の向上を狙う。
3つのデバイスを1つに統合、部品原価を低減
日立情報通信エンジニアリングは事例として、生産制御装置へのサービス適用を挙げた。製造装置メーカーから受託したプロジェクトで、温度管理センサー基板を再設計したものになる。「センサーを補強したい」「CPUの処理性能を向上させたい」という課題に対し、部品EOL向けリメイクサービスとFPGA向けリターゲティングサービスを組み合わせ、15年以上が経過した基板を再設計した。具体的には、旧世代のFPGA2個と、旧世代のマイコン1個で構成されていたものを、1個のFPGA(プログラマブルロジックとCPUコアを搭載したSoC[System on Chip])に統合。この統合と、CPUの刷新により、センサーを拡充した他、部品原価を16%低減できたという。開発期間も約20%短縮した。
この事例では、日立情報通信エンジニアリングが、デバイスの置き換えと基板リメーク、ファームウェアのポーティングを一括で対応したという。「本来は基板サイズも小さくできたが、制御装置に収容する部分を変更したくないという要望があったため、インタフェースは変更せずに基板のリメークを行った」(同社)
日立情報通信エンジニアリングは、「受託開発サービスを提供している競合は多数存在するが、当社が提供するサービスをメニューとして体系化した点が強み」だと強調する。「あらかじめ“メニュー”として提示している部分はスピーディに対応し、メニューに合致しない部分でもノウハウを生かして柔軟に対応していく」(同社)
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