Raspberry PiがAIカメラモジュール発売へ、ソニーのAI処理機能搭載センサー採用:2024年夏頃登場予定
英国Raspberry Piがソニーのインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を搭載したAIカメラモジュールの発売を予定していることが分かった。2024年夏頃の発売を予定しているという。
英国Raspberry Piがソニーのインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を搭載したAIカメラモジュールの発売を予定していることが分かった。Raspberry Piがドイツ・ニュルンベルクで開催中の組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(2023年4月9〜11日)で公開した。
IMX500はソニーが2020年5月に発表した製品で、イメージサイズが1/2.3型(対角7.857mm)の画素チップと、ロジックチップを重ね合わせた積層構造を採用。ロジックチップに、通常のイメージセンサー信号を処理する回路に加え、AI処理に特化した独自のDSPや、AIモデルを書き込むためのメモリなどを集積したことで、高性能プロセッサや外部メモリなどの追加なしで、エッジAIシステムの実現が可能になるというもの。画素は有効約1230万個の裏面照射型画素を配置している。
今回、Raspberry Piが展示していたのは、このIMX500を採用したRaspberry Pi用カメラモジュールだ。画像認識モデルのMobileNetをあらかじめロードしている他、Tensorflowのカスタムモデルをインポートすることも可能で、「AI処理をセンサーにオフロードすることで、エッジIoT(モノのインターネット)アプリケーションに使用できる処理能力が大幅に向上する」(同社)としている。ブースのデモでは実際に、Raspberry Pi Zero 2 Wと接続して物体認識や身体セグメンテーションを行っていた。
Raspberry PiのAIカメラモジュールは、記事執筆時点(2024年4月11日午前2時)ではWebサイトなどでの公式発表はなく、価格などは未定というが、既に外箱も用意されている状態で、2024年夏頃に発売予定だという。
ソニーグループとRaspberry Piは、製造委託をはじめ、イメージセンサーおよびその他の半導体製品の取引など、長期にわたる重要な戦略パートナー関係を構築してきた。2023年4月には、ソニーセミコンダクタソリューションズがRaspberry Pi社に出資し、戦略的協業体制を構築するとも発表している。
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