ルネサス甲府工場がいよいよ再稼働 柴田社長「パワー半導体の戦略的拠点に」:パワー半導体の生産能力が2倍に
ルネサス エレクトロニクスは2024年4月11日、2014年10月に閉鎖した甲府工場(山梨県甲斐市)の稼働を開始した。パワー半導体の生産能力増強を目的としたもので、本格量産を開始する2025年には、現状比で2倍の生産能力になる見込みだ。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2024年4月11日、パワー半導体の生産能力増強に向けて、2014年10月に閉鎖した甲府工場(山梨県甲斐市)の稼働を開始した。併せて開所式を開催した。今後は、パワー半導体専用の300mmラインとして、IGBTやパワーMOSFETなどの生産を行う。4月11日から生産ラインのテスト稼働を行っていて、2024年7〜9月には試作を開始する。本格量産は2025年1月を予定していて、それにより、ルネサス全体のパワー半導体の生産能力は、現状比で2倍になる見込みだ。
ルネサス 社長兼CEOの柴田英利氏は開所式で、「甲府工場は、規模こそ大きくないが、300mmかつパワー半導体のみを扱う工場として戦略性の高い拠点だ。同工場で生産するパワー半導体を通じて、EV(電気自動車)やAI(人工知能)の普及/拡大に伴って必要となる電力の効率的な活用に貢献する」と強調した。
甲府工場の敷地面積は9万4000m2で、就業人員は約100人。クリーンルーム面積は最大1万8000m2で、今回稼働を開始したのはそのうち6000m2だ。残り1万2000m2を活用したり、敷地内に新建屋を建設したりする可能性もあるという。
甲府工場はルネサスの100%子会社であるルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングの傘下として150mm/200mmウエハーを生産していた。だが、2010年代前半にルネサスが大規模な構造改革を実施する中、2014年10月に工場を閉鎖した。
ルネサスは2022年5月、脱炭素社会の実現に向けて増加するパワー半導体需要に対応すべく、甲府工場の再稼働を決定。900億円規模の設備投資を行い、現在まで排水設備などの主要インフラやクリーンルームの内装、供給インフラの整備などを行ってきた。既に、予定している半導体製造装置の7割の搬入が完了しているという。
同社広報は、甲府工場の特長について「300mm用の半導体製造装置は、200mmに比べて高さがある。今回、300mmに対応するため、クリーンルームの天井を4.0mから4.5mに広げた。また、東日本大震災の教訓を基に、製造装置を建屋の構造物に固定するなど、安全性能を高めるための工夫を凝らしている」と説明した。
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