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わずか3個のLSIでモバイル超音波診断装置を実現、ソシオネクストMedtec Japan 2024

ソシオネクストは「Medtec Japan 2024」(2024年4月17〜19日)に出展し、同社が開発したワイヤレス超音波診断装置専用のLSIを展示した。同LSIの活用により、従来のワイヤレス超音波診断装置に比べて、必要なチップ数を半分に削減できるという。

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 ソシオネクストは「Medtec Japan 2024」(2024年4月17〜19日/東京ビッグサイト)に出展し、同社が開発したワイヤレス超音波診断装置専用のLSI「viewphii(ビューフィー) 64」や、同LSIを搭載したワイヤレス超音波プローブ(プロトタイプ)を展示した。

 viewphii 64には、「パルサLSI」「超音波画像生成LSI」の2種がある。パルサLSIは、超音波振動子の64素子を同時に駆動する機能と、受信した微弱信号を後段のLSIに送るためのアナログスイッチ機能を備えている。超音波画像生成LSIは、パルサLSIから受け取った微弱信号を増幅し、A-D変換や整相加算をするビームフォーマー機能および超音波画像を生成する機能に加え、システム全体の制御を行うための機能を搭載している。

 同社 メディカルソリューションチーム ビジネス開発部 ビジネス開発課 課長の小林真理氏は、viewphii 64の特長について「超音波用途では、ノイズの影響が強く出やすいため、ノイズの影響を最小限に抑えられるように設計を工夫している。既に医療用途での使用に必要な認証を取得していて、性能も市場に出せるレベルだ」と説明した。

「viewphii 64」の展示
viewphii 64の展示[クリックで拡大]

 ワイヤレス超音波プローブ(プロトタイプ)もソシオネクストが自社開発したものだ。前世代品「viewphii-US」では3種類/計6個のLSIを搭載していたのに対し、最新のプロトタイプでは、パルサLSIが2個と超音波画像生成LSIが1個、つまり2種類/計3個のチップでワイヤレス超音波プローブを構築できる。

 viewphii 64を使用したプローブは、Tx(送信)側は最大192チャネル、Rx(受信)側は64チャネルを備える。前世代品よりも小型化しながら、消費電力は同等性能の1W(代表値/Bモード時)に抑えている。また、画像処理機能として、空間コンパウンド、トラペゾイドスキャンなどの拡張にも対応したことで、より高精細な画像描写が可能になった。

 なお、展示したワイヤレス超音波プローブはサンプル品で、今後もプローブそのものの販売は行わないという。

viewphii 64搭載品の展示viewphii 64搭載品(下)と前世代品「viewphii-US」(上)の比較 左=viewphii 64搭載品の展示/右=viewphii 64搭載品(下)と前世代品「viewphii-US」(上)の比較[クリックで拡大]

 今後の課題について小林氏は「ワイヤレス超音波診断装置の発展により、一般人(非医療従事者)によるセルフ検査は普及していくだろう。一方で、検査結果の読影に関しては専門的な知識が必要だ。今後は、ソフトウェアやAI(人工知能)などのソリューションとも連携して、一般人でも使いやすいような環境を整えていく必要がある」と語った。

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