TSMC、24年Q1は増収増益 地震の影響は「最小限にとどまる」:Q2の売上総利益率を0.5ポイント引き下げるか(2/2 ページ)
TSMCは2024年第1四半期(1〜3月期)の決算を発表した。売上高は前年同期比16.5%増の5926億4000万ニュー台湾ドル、純利益は同8.9%増の2254億9000万ニュー台湾ドルで、増収増益だった。
地震の影響、Q2の売上総利益率が0.5ポイント低下見込み
2024年4月3日に台湾で発生したマグニチュード7.2の地震については、TSMC 財務担当シニアバイスプレジデント兼CFO(最高財務責任者)のWendell Huang氏が「停電はなく、工場の構造部への損傷も、EUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を含む重要な装置への被害もなかった」と説明。地震により一部ウエハーを廃棄することになったが、それによって失った生産量は第2四半期中にほぼ回復する見込みだといい、「第2四半期の収益への影響は最小限にとどまると見ている」(同氏)と述べた。具体的には、主にウエハーと材料の廃棄が理由で、第2四半期の売上総利益率が0.5ポイント低下する見込みだ。
アリゾナ州工場の建設計画も進む
TSMCは2024年4月8日(米国時間)、米国アリゾナ州フェニックスに2nm以下のプロセスを導入する第3工場の建設を計画していることを発表していた。これについて決算説明会では、TSMC CEO(最高経営責任者)C.C. Wei氏が「米国の顧客から強いコミットメントとサポートを受け、より大きなスケールメリットの得られる3つの工場の建設計画を進めている。アリゾナ州の各工場のクリーンルーム面積は、一般的なロジックファブの約2倍となる」と語った。アリゾナ州の第1工場では4nmプロセスを、第2工場ではAI(人工知能)需要に対応するため3nm/2nmプロセスを導入するとしている。第3工場では2nmまたはそれ以降のプロセスを導入する予定だ。
決算説明会では「アリゾナ州には先進パッケージング工場も建設するのか」という質問があったが、TSMC側は明確に回答せず、Wei氏は「Amkor Technologyがアリゾナ州に先進パッケージング工場を建設すると発表したことをうれしく思う。Amkor Technologyと協力して顧客をサポートし、ニーズに応えたい」と述べた。
なお、TSMCが日本に先進パッケージング工場の建設を検討しているという報道については言及しなかった。
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