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村田製作所、23年度は減収減益 電池事業で495億円の減損損失を計上売上高は予想比上振れ(3/3 ページ)

村田製作所は2024年4月26日、2023年度通期(2023年4月〜2024年3月)の決算を発表した。売上高は前年度比2.8%減の1兆6402億円、営業利益は同27.8%減の2154億円だった。2023年10月に発表した業績予想と比較すると、売上高は予想を1.2%上回り、営業利益は予想を20.2%下回った。

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コンデンサー、インダクター/EMIフィルターは増収

 2023年度の事業別セグメントの売上高は、コンデンサーとインダクター/EMIフィルターが増加し、その他のセグメントは減少した。

 具体的には、コンデンサーとインダクター/EMIフィルターは主にモビリティ/スマホ向けで増加しそれぞれ前年度比2.0%増、同2.8%増の成長を見せた。高周波/通信は、高周波モジュール/表面波フィルター/樹脂多層基板はスマホ向けで増加したものの、コネクティビティモジュールがスマホ/PC向けで減少した結果、同3.0%減で着地した。

 この他、エナジー/パワーは、リチウムイオン二次電池の売上高がパワーツール向けで減少し同23.4%減。機能デバイスはセンサー、タイミングデバイスがコンピュータやスマホ向けで減少し同2.2%減となった。

 用途別でみると、通信用途、モビリティ用途は前年度比で増加し、コンピュータ用途や家電用途、産業/その他用途では減少した。

 具体的には、通信用途はスマホ向けの高周波モジュール/コンデンサー/表面波フィルターが増加し前年度比2.6%増、モビリティ用途は、自動車の生産台数増加や電動化/電装化の加速でコンデンサーやインダクター、センサーが増加し同10.9%増と、それぞれプラス成長した。

 一方、コンピュータ用途はPC向けコネクティビティモジュールが減少し同9.6%減、家電用途はパワーツール向けリチウムイオン二次電池とAV機器向けコンデンサーが減少し同25.0%減、産業/その他用途は産業機器や代理店向けでコンデンサーが減少し同16.5%減となった。

事業別セグメントの売上高の概況事業別セグメントの売上高の概況 事業別セグメントの売上高の概況[クリックで拡大] 出所:村田製作所
用途別の売上高の概況用途別の売上高の概況 用途別の売上高の概況[クリックで拡大] 出所:村田製作所

リチウムイオン二次電池事業 「25年度の黒字化は必達」

 村田製作所は2023年度、リチウムイオン二次電池の不調から495億円の減損損失を計上した。事業の継続を前提とした処理だという。

 村田製作所は、自社技術との親和性の高さや市場の成長性を見込んで2017年にソニーからリチウムイオン二次電池事業を買収し、ラミネート型電池と円筒型電池を展開してきた。しかし中国メーカーを中心にコスト競争が激しくなり、2019年にラミネート型電池の事業を縮小した。その後、円筒型電池はパワーツール市場に注力し、コロナ禍での急激な需要増を受けて生産能力を増強したが、反動の需要減が大きく、在庫調整が長期化した。これを受けて事業計画を見直し、減損損失を計上したという。

 今後はパワーツール市場でのシェア拡大や、ESS(電力貯蔵システム)市場でのビジネスモデルの構築を目指すとしている。リチウムイオン二次電池事業は「2025年度に黒字化する」との目標を掲げていて、この目標に変化はなく、村田製作所 社長の中島規巨氏は「必達目標として取り組みを進めている」とした。

リチウムイオン二次電池事業の減損損失計上の概要
リチウムイオン二次電池事業の減損損失計上の概要[クリックで拡大] 出所:村田製作所

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