デンソーがルネサス株の半分超を売却、売却益1755億円見込む:残りは「保有の合理性を継続して検討」
デンソーは2024年5月20日、保有するルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)の株式の一部を売却すると発表した。売却するのは発行済み株式(自己株式を除く)の4.4%に当たる7812万7800株で、売却益として約1755億円を見込む。受け渡し完了予定日は2024年5月23日。
デンソーは2024年5月20日、保有するルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)の株式の一部を売却すると発表した。売却するのは発行済み株式(自己株式を除く)の4.4%に当たる7812万7800株で、売却益として約1755億円を見込む。なお、2024年3月末時点ではデンソーはルネサス株の8.6%を保有していたことから、今回、保有分の半分超を売却することになる。デンソーは「売却後も、引き続きルネサスとの事業上の協業関係を維持/強化していく」と述べている。
「出資当初の目的が一定程度果たされた」と説明
デンソーは2013年にルネサスに出資し、2018年にルネサスの持分比率を引き上げて以降、車載半導体の安定調達を実現する事業上の取引関係を構築。「競争力のある車載システムに関する技術や製品の共同開発を積み重ねることで、一定の協業の成果を上げてきた」という。
デンソーは今回の一部株式売却の理由について、「当社の今後の半導体戦略と資本効率の観点からルネサス株式の保有の合理性を総合的に検証し、出資当初の目的が一定程度果たされたこともあり、当社の成長戦略に資する投資を追求するために、一部の保有株式の売却を決定した」と説明している。
なお、デンソーはルネサスとの事業上の協業関係の維持/強化について「当社の企業価値の持続的な向上に不可欠」としていて、残りの保有株式については、「本件売却後のルネサスとの事業上の協業関係の進展や、変革期にある自動車業界における各車載半導体の位置付けおよび、当社の半導体戦略や資本効率等を総合的に勘案し、保有の合理性を継続して検討していく」と述べている。
受け渡し完了予定日は2024年5月23日で、デンソーは2025年3月期の個別決算で特別利益として計上する見込み。
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