満充電で1000km走行を実現した自転車向け回生電動アシストシステム:次の充電は200日後!?
太陽誘電は、「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」(2024年5月22日〜24日/パシフィコ横浜)に出展し、丸石サイクルから販売される電動アシスト自転車「Re:BIKE(リバイク)」に使われている回生電動アシストシステム「FEREMO」などを展示した。
太陽誘電は、「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」(2024年5月22日〜24日/パシフィコ横浜)に出展し、回生電動アシストシステム「FEREMO(フェリモ)」を展示した。
FEREMOは、発進時や登坂ではパワフルな運転支援を行い、停止/減速する際のブレーキ操作や、足を止めて坂を下る際の速度調整(減速)時には、前輪のモーターで発電し、バッテリーを充電する。走りながら充電するため、バッテリー残量を気にせずに長期間の走行が可能になる。満充電時の走行距離は最大1000kmで、1日5km走行すると仮定すると、充電スパンは200日となる。
FEREMOは、コントローラー、表示機、回生モーター、バッテリーで構成される。太陽誘電は、モーター制御/充放電制御用に開発したコントローラーに加え、専用にカスタマイズされた表示器、モーター、バッテリーを用いてFEREMOを構成し、販売する。
太陽誘電のブース担当者は「FEREMOは、高性能なコントローラーを使用しているため、モーター制御や充放電制御時に発生する損失を最小限に抑えている。また、回生モーターの採用により、自転車のブレーキ速度が一定になるため、下り坂でもやさしい速度で走行できる。子供と一緒に自転車に乗る場合でも安心して使えるだろう」とコメントした。
なお、丸石サイクルは、FEREMOを搭載した「Re:BIKE」を2024年6月に販売する予定で、メーカー希望小売価格は19万8000円(本体価格)だ。
1つのタッチパネルで、カメの甲羅や氷、果物の触覚を再現
太陽誘電は、積層圧電アクチュエーターを内蔵したタッチパネルも展示した。
積層圧電アクチュエーターは、圧電縦効果を利用して電気エネルギーを機械的エネルギーに変換するセラミック素子だ。積層圧電アクチュエーターを超音波周波数で駆動すると、タッチパネル表面上に定在波が発生する。定在波の振幅や周波数の違いによって、ツルツルやザラザラなどさまざまな触感をディスプレイで再現することができる。
ブースでは、1つのパネル上でカメの甲羅や氷、果物(キウイ)の触感を再現するデモや、自動車内部のタッチディスプレイの操作ボタンごとに触感を変えるデモが展示された。筆者も体験してみたが、指先だけで触感の違いを感じることができた。
担当者は、同技術の活用場面について「自動車内部のタッチパネルにおいて、空調の温度調整用、スピーカーの音量調節用など、機能によって操作ボタンの触感を割り当てことで、タッチタイピングでの操作を可能にする」と述べ、展示の狙いについて「自動車メーカーとのコミュニケーションを増やし、今後の使用用途や開発方針に関する意見公開をしたい」と語った。
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