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電力効率が従来比3倍のミリ波トランシーバー技術 ルネサスが開発ポスト5G/6Gの無線機器に向け

ルネサス エレクトロニクスと同社米国法人は、ポスト5G/6Gの無線機器に向け、高い効率と低コストを実現したミリ波トランシーバー技術を開発した。これまでと同じアンテナ構成で、電力効率は最大18%を達成した。この値は従来に比べ3倍の性能だという。

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パワーアンプをフィールドプログラム可能な構成に

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)と同社米国法人Renesas Electronics Americaは2024年5月30日、ポスト5G/6G(第5/第6世代移動通信)の無線機器に向け、高い効率と低コストを実現したミリ波トランシーバー技術を開発したと発表した。これまでと同じアンテナ構成で、電力効率は最大18%を達成した。この値は従来に比べ3倍の性能だという。

 ルネサスは今回、トランシーバーに搭載するパワーアンプのアーキテクチャを見直した。パワーアンプをフィールドプログラム可能な構成にしたことで、スキャン角度やVSWR(電圧定在波比)条件に関係なく、安定した高い出力を実現した。また、消費電力やリークの低減、イメージ除去特性を改善することで、使用周波数帯とパッケージング上の課題を解決した。

 この結果、28GHz帯で用いられる電力効率の高いトランシーバーを、シリコンベースのICに集積することができた。また、アンテナとの協調設計により、高効率で低コストのトランシーバーモジュールの試作にも成功した。

試作したトランシーバーICのブロック図イメージ
試作したトランシーバーICのブロック図イメージ[クリックで拡大] 出所:ルネサス
特性評価に用いたボードと、28GHz帯8×8アレイアンテナの外観
特性評価に用いたボードと、28GHz帯8×8アレイアンテナの外観[クリックで拡大] 出所:ルネサス

 開発したトランシーバーICの特性を検証するため、シミュレーションおよび、試作したICを用いて実証試験を行った。この結果、Rx入力P1dBの実測値は−11dBm(目標値は−10dBm以上)。LO Leakの実測値は−50dBc未満(目標値は−50dBc未満)を達成した。

 ルネサスは今後、開発した技術を活用したトランシーバーICの製品化に向けて、特性の改善や最適化に取り組む。

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