「AIを軸に新しい価値創出を目指す」 富士通のAI研究戦略:「世界初」2nmプロセス採用プロセッサも紹介(2/2 ページ)
富士通は2024年6月4日、AI分野における研究戦略発表会を開催し、データセンターの省電力化に貢献するコンピューティング技術や次世代グリーンデータセンター向けプロセッサ「FUJITSU-MONAKA」を紹介した。
「世界初」2nmプロセス採用のプロセッサ「FUJITSU-MONAKA」
富士通は、次世代グリーンデータセンター向けプロセッサ「FUJITSU-MONAKA」も紹介した。2027年に市場投入を予定している技術だ。
FUJITSU-MONAKAは、「世界で初めて」(富士通)2nm世代のプロセスを採用するプロセッサで、Armの最新プロセッサアーキテクチャ「Armv9-A」や「Arm SVE2」の採用により、AIやHPC(高性能コンピューティング)に必要な高速なデータ処理基盤を構築する。メモリはDDR5、外部インタフェースはPCI Express 6.0をサポートし、空冷の冷却システムに対応できる。また、コンフィデンシャルコンピューティングアーキテクチャにより、高度な信頼性とセキュリティ機能を提供する他、富士通独自の超低電圧技術により、省電力と高性能を両立するという。
機械学習/深層学習、ビッグデータ解析、データセキュリティなど幅広い領域のソフトウェアに対応する。また、オープンソースコミュニティーと協力し、FUJITSU MONAKAの性能を引き出す環境をハードウェアの出荷前から整備していく。
さらに、富士通は、さまざまなCPUやAIアクセラレーターを単一コードで動作させる「Unified Acceleration技術」の実現を目指す団体「UXL foundation」に発足メンバーとして参画している。Unified Acceleration技術の活用により、FUJITSU MONAKAのリリース時点で、顧客がFUJITSU MONAKAを手軽かつ最大限に活用できる環境の構築を目指す。富士通 富士通研究所 先端技術開発本部 本部長の新庄直樹氏は、「FUJITSU MONAKAおよび最適化されたソフトウェア、広い領域で活用可能なAIインフラ基盤として、顧客の課題解決に貢献する」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- NTTが大規模言語モデル「tsuzumi」を提供開始、既に500社/団体が興味
NTTは2024年3月25日、同社が独自開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」の商用提供を開始した。まずはパラメーターサイズが70億のモデルを活用するサービスから提供を開始する。既に約500社/団体から案件ベースでの相談を受けているという。 - 「安全な生成AI」の社会実装に向け本格始動、GUGA
2023年5月に発足した「生成AI活用普及協会(GUGA)」が記者説明会を実施し、同協会の概要や設立背景をあらためて語った。資格試験「生成AIパスポート」やコミュニティーの提供を通じて、生成AIの公正かつ安全な普及/社会実装を目指している。 - 国産の生成AI/基盤モデルの開発へ、経産省が講演
経済産業省 商務情報政策局 情報産業課 ソフトウェア・情報サービス戦略室 企画官の小川宏高氏は、「EdgeTech+ 2023」のセミナーに登壇し、生成AIを中心に、日本の半導体・デジタル産業戦略について語った。 - 生成AIにけん引される半導体業界、現在の勝者と今後の展望
生成AIブームにけん引され、データセンター向けGPUおよびAI ASIC市場は2029年に2330億米ドル規模にまで成長することが予測されています。 - 「LLMの巨大化」が生成AIのボトルネックに
急成長が予想されている生成AI(人工知能)においてボトルネックとなるのは、LLM(大規模言語モデル)の巨大化、つまりパラメーター数の増加だという。SambaNova Systemsなどが、こうしたボトルネックについて語った。