STと吉利汽車、「共同研究ラボ」設立などで合意:SiCパワー半導体の長期供給契約も
STマイクロエレクトロニクスと中国の吉利汽車は、「SiC(炭化ケイ素)パワー半導体の長期供給契約」と、「共同研究ラボの設立」で合意したと発表した。革新的な技術を共同で開発することにより、新エネルギー車(NEV)への移行を加速させる。
中国企業との協力拡大で、中国における電動化を加速
STマイクロエレクトロニクスと中国の吉利汽車は2024年6月、「SiC(炭化ケイ素)パワー半導体の長期供給契約」と、「共同研究ラボの設立」で合意したと発表した。革新的な技術を共同で開発することにより、新エネルギー車(NEV)への移行を加速させる。
STは今回の契約に基づき、吉利汽車が製造するミドルレンジからハイエンドのバッテリー電気自動車(BEV)向けにSiCパワー半導体を長期供給する。吉利汽車は、ST製の第3世代SiC MOSFETを電動パワートレインの主要装置となる「トラクションインバーター」に搭載する。これにより、変換効率を最大化して航続距離を延ばすなど、BEVの性能向上を目指す。
さらに両社は、よりスマートでコネクテッドなEVの開発に向け、共同研究するための「イノベーション・ジョイント・ラボ」を設立した。自動車のE/E(電子/電気)アーキテクチャやADAS(高度運転支援システム)、NEVに関連する革新的な技術開発に向けた情報交換や研究に取り組む計画である。
STは、トラクションインバーターやOBC(オンボードチャージャー)、DC-DCコンバーター、EV充電ステーション、電動コンプレッサーなどに向けたSiC製品を提供している。2023年6月には、直径200mmのSiCウエハーを用いたSiC製品を製造するため、中国の三安光電と合弁企業を重慶に設立することを発表している。こうした中国企業との協力拡大により、中国での電動化を加速させる。
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