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レゾナック、AI半導体向け絶縁接着フィルムと放熱シートを増産:約150億円を投資
レゾナックは、AI半導体など高性能半導体に向けた絶縁接着フィルム「NCF」と放熱シート「TIM」を増産する。設備投資額は約150億円を予定しており、増産ラインは2024年以降にも順次稼働の予定。
生産能力拡大で、安定供給と市場での優位性を一段と強固に
レゾナックは2024年3月29日、AI半導体など高性能半導体に向けた絶縁接着フィルム「NCF」と放熱シート「TIM」を増産すると発表した。設備投資額は約150億円を予定しており、増産ラインは2024年以降にも順次稼働の予定。
NCFは、HBM(High Bandwidth Memory)と呼ばれるメモリを、接続しながら多段に積層するため用いられる。このため、高い接着性と接続信頼性に加え、サブミクロン単位の厚み精度が要求されるという。
一方、放熱用途で用いられるTIMは、チップの熱を素早く放熱する熱伝導性や、繰り返しの温度変化に耐える信頼性、チップと冷却器の密着性を高めるための柔軟性などが求められる。同社は、柔軟なシート材に特殊な形で黒鉛粒子を加える独自技術により、市場で求められる性能を実現した。
同社は、パッケージングソリューションセンター(PSC)やJOINT2コンソーシアムを活用し、次世代半導体パッケージ向け材料の開発に注力している。生成AI向けなど需要が急増する既存の先端半導体向け材料についても、安定供給と市場での優位性を強固にするため、NCFとTIMの生産能力を拡大することにした。
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