ドイツ化学大手、台湾で半導体材料の新工場を着工:30億ユーロ以上の成長戦略の一環
ドイツの化学大手Merckは2023年2月8日(ドイツ時間)、台湾・高雄市において、半導体材料の新工場の建設を開始した。2025年に稼働予定で、薄膜、パターニング用の特殊ガスおよび半導体材料を生産する。
ドイツの化学大手Merckは2023年2月8日(ドイツ時間)、台湾・高雄市において、半導体材料の新工場を建設開始したと発表した。2025年に稼働予定で、薄膜、パターニング用の特殊ガスおよび半導体材料を生産する。
アジア、米国への半導体材料投資を加速
同社は2021年9月、エレクトロニクス事業のイノベーションと能力強化に向けグローバルで展開する成長戦略「Level Up」を発表。同戦略では、「革新的な半導体/ディスプレイ材料を巡る世界的な需要の急増に伴う成長機会の獲得に照準を当てている」といい、2025年末までにアジアおよび米国を中心に、30億ユーロ以上の大規模な投資を予定している。今回の新工場もこの戦略の一環で、15万m2の敷地に薄膜、パターニング用の特殊ガスと半導体材料の製造施設を建設。今後、数段階に分けて拡張していく方針だという。
この戦略では、日本でも2022年4月、半導体材料の研究開発(R&D)/製造における主要拠点である静岡事業所(静岡県掛川市)の強化を中心に、日本のエレクトロニクス事業部門に対して、2025年までに1億ユーロ以上の投資を行うと発表している。さらに、2023年1月には韓国Mecaroの化学品事業の買収を完了し、半導体製造用薄膜材料の開発/生産能力を強化している。
同社は、有機EL(OLED)材料に関しても、韓国・平澤市、ドイツ・ダルムシュタットに次ぐ3カ所目の製造拠点を2022年9月、中国・上海市に開設した。
また、2022年10月には高雄市に、特殊ガスや材料の輸送システムを製造する新工場を開設した他、米国でも2023年上半期末までに、アリゾナ州チャンドラーで新工場の開設を予定しているという。
Merckのエレクトロニクス・ビジネスCEO(最高経営責任者)のKai Beckmann氏は、「不安定なマクロ経済情勢にもかかわらず、われわれの市場の中長期的な成長見通しは、非常に明るい。デジタル化の進展とデータ量の指数関数的増加を背景に、エレクトロニクスへの需要は今後も強く伸びる見込みであり、当社はこの魅力的な成長市場に投資し、顧客の近くで生産能力/イノベーション力を選択的に拡大している」と述べている。
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