検索
特集

「第4のEDA大手」となるか 買収を繰り返すAltair得意のHPCでニッチ市場を狙う(2/2 ページ)

EDA業界は現在、Cadence、Siemens EDA、Synopsysの3社が支配的な立場にある。この3社は小規模なEDA企業を買収することで業界の巨人へと成長してきた。現在、あるEDA企業が、この3社の競争に割って入るべく同様の連続買収の道を歩んでいる。【訂正あり】

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

設計ソフトウェアベンダーを次々と買収

 Altairは2024年初め、同社の設計/シミュレーションプラットフォーム「HyperWorks」をフランス国内で販売するチャネルパートナーとしてEDA Expertを指名した。2012年に設立され、フランスのアルクイユに本社を置くEDA Expertは、メーカーが電子システムの設計と製造、電子基板の解析に適したソリューションを定義できるよう、技術的な専門知識とトレーニングを提供している。

 また、Altairは2022年6月に、自動回路図生成ツールや電子設計デバッグソリューションのサプライヤーであるConcept Engineeringの買収を発表している。Concept Engineeringのソフトウェアは、Altairの「Electronic System Design」に統合され、Altair独自のソフトウェアサブスクリプションサービス「Altair Units」を通じて提供される。

 Concept Engineeringのリアクティブビジュアライゼーション技術は、特定の設計アーキテクチャ要件と厳格なサービスニーズを有する設計に貢献するという。また、同社の設計デバッグソリューションは、アナログとデジタルの両方の分野で、レジスタ転送レベル(RTL)、ゲート、トランジスタ設計の抽象化に対応する。

 さらに、Altairは2017年9月に、米国カリフォルニア州サンタクララを拠点に高性能コンピューティング(HPC)向けソリューションを手掛けるRuntime Design Automationの買収を発表している。同社は主に、EDAツールを活用してCPU、GPU、SoC(System on Chip)を設計する設計者にサービスを提供していた。

Altairの半導体デバッグツールの画面サンプル
Altairの半導体デバッグツールの画面サンプル[クリックで拡大] 出所:Altair

大手3社に挑むことができるか?

 Altairはコンピュテーショナルインテリジェンスのスペシャリストを自称しているが、同社の技術ロードマップはEDAツール製品との融合や競合が進んでいる。同社はAI(人工知能)やクラウドコンピューティング技術によって変革が進んでいるEDA業界での地位を確立するために、EDAソリューションを着実に蓄積して技術的な強みを増やしている。

 さらに、Altairが得意とするHPCは、半導体の分野でも中心的な役割を果たしつつある。そのため同社は、半導体市場でEDAのニッチを切り開くことを目指しているのかもしれない。

 それでもAltairはまだ、EDAの大手3社の足元にも及ばない。Altairはこのまま買収を続け、最終的には業界の覇権に挑戦するのだろうか。それとも、大手3社の買収のターゲットとなるのだろうか。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る