Micronの四半期業績は増収増益、営業利益率は10%台に回復:福田昭のストレージ通信(263)(2/2 ページ)
Micron Technologyの2024会計年度第3四半期(2024年3月〜5月期)の業績を紹介する。
2024年のビット成長率はDRAMとNANDの両方とも15%前後と予測
MicronはDRAMとNANDフラッシュメモリのビット換算成長予測(市場全体の予測)を業績発表で公表するのが通例となっている。2024年(暦年)のビット成長率はDRAMとNANDフラッシュのいずれも15%前後と予測した。また中期のビット成長率では、DRAMの年平均成長率は15%前後、NANDフラッシュの年平均成長率は16%〜19%(high teens)を期待する。
市場全体の需給バランスはタイトな状況が続く。DRAMとNANDフラッシュともに、2024年(暦年)は供給が需要を満たせないと予測する。
事業部門別ではデータセンターSSDの売上高が過去最高を記録
事業部門の売り上げを見ていこう。CNBU(Compute and Networking Business Unit)(エンタープライズ向け事業)、MBU(Mobile Business Unit)(モバイル向け事業)、EBU(Embedded Business Unit)(組み込み向け事業)、SBU(Storage Business Unit)(ストレージ事業)の4つの事業ユニットがある。
CNBUの売上高は前期比18%増、前年同期比85%増の25億7300万米ドルである。データセンター向けDRAMの販売額が前年同期の2倍に増加したことが、売り上げを押し上げた。
MBUの売上高は前期比1%減、前年同期比94%増の15億8800万米ドルである。前期比の売り上げ減は計画的な生産数量減のため。価格上昇が売り上げ減の緩和に寄与した。
EBUの売上高は前期比16%増、前年同期比42%増の12億9400万米ドルである。自動車向けの販売額が過去最高となったことが、増加の主な要因だとする。
SBUの売上高は前期比50%増、前年同期比116%増と劇的に拡大した。金額は13億5300万米ドルである。全ての応用分野で販売が増加した。特にデータセンター向けSSDは前期の2倍近くとなり、過去最高を塗り変えた。
設備投資はHBM関連に重点をシフト
設備投資額は2024会計年度全体で約80億米ドルとなる計画だ。前工程(ウエハー処理)用製造装置への投資額は前年度から低下する。
2025会計年度(2024年9月〜2025年8月期)の設備投資額は、売り上げの35%前後と高い水準になる見込みだ。投資額の増加分はHBMのアセンブリ、テスト、フロントエンドとバックエンドの装置に充てられる。また増加分の製造拠点別振り分けではアイダホとニューヨーク(グリーンフィールド)の合計が半分を超える。
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