高調波センサー×AIで設備診断 振動を測れない装置にも:制御盤の電線に取り付けるだけ
パナソニック インダストリーは「TECHNO-FRONTIER 2024」にて、AI(人工知能)設備診断ソリューションを紹介した。設備保全ソリューションでは一般的な振動センサーではなく、制御盤に取り付ける高調波センサーを用いたことで、制約のある現場でも利用できる。
パナソニック インダストリーは「TECHNO-FRONTIER 2024」(2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)に出展し、AI(人工知能)設備診断ソリューションを紹介した。
振動センサーが適さない設備にも導入可能
製造現場における設備保全のDX(デジタルトランスフォーメーション)には、振動センサーを製造装置やその土台部分に取り付けて異常を検知する例が多い。しかし、クリーンルームや防爆設備など振動センサーの取り付けが難しい設備があるほか、複数の装置が近接する現場では周囲の振動を拾ってしまい正確な診断ができない場合がある。
パナソニック インダストリーの設備診断ソリューションは、電流の高調波成分をモニタリングしてAIが設備の異常を検知するというもの。モーター駆動の設備のボールねじ/ギア/ベアリングといった部品が対象だ。
制御盤内の電線に高調波センサーモジュールを挟んで取り付けるので、製造設備そのものへの設置は必要なく、周囲の設備の影響も受けない。
導入にあたっては、AIモデルに正常時の状態をあらかじめ約2000時間分学習させる。学習後、正常な値からの変化度によって「正常」「いつもと違う」といった状態を診断する。設定したしきい値を超えた際にアラートを送信する仕組みだ。
年間580時間の作業削減例も
ブースでは、実際の導入事例も紹介した。保全員による定期点検を行っていたが突発故障を完全には防げずにいた企業では、同ソリューションの導入によって突発故障をなくし、年間約580時間の点検作業を削減できたという。
なお、設備の構造の複雑さや部品点数によっては同ソリューションを用いても適切に異常を検知できない場合があるとして、パナソニック インダストリーは正式導入前に短期間の無償/有償試用サービスを提供している。
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