InfineonがマレーシアのSiC新工場を開所 24年内に出荷へ:200mm対応の大規模工場が完成
Infineon Technologiesは2024年8月8日(マレーシア時間)、マレーシア・クリムの200mm SiC(炭化ケイ素)ウエハー新工場のオープニングセレモニーを開催した。2024年内にもウエハー出荷を開始する予定だ。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2024年8月8日(マレーシア時間)、マレーシア・クリムに新設した200mm SiC(炭化ケイ素)ウエハー工場(「第3工場(フェーズ1)」)のオープニングセレモニーを開催した。セレモニーには、InfineonのCEO(最高経営責任者)であるJochen Hanebeck氏、同COO(最高執行責任者)のRutger Wijburg氏の他、マレーシア首相のアンワル・イブラヒム氏をはじめとする政府関係者も多数出席した。
![クリムの200mm SiCウエハー工場のオープニングセレモニーの様子](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2408/08/mm240808_inf01.jpg)
クリムの200mm SiCウエハー工場のオープニングセレモニーの様子。写真右から4番目がマレーシアのアンワル・イブラヒム首相、同3番目がInfineon Technologies CEOのJochen Hanebeck氏[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies
第3工場はInfineonが2022年2月、20億ユーロを投じて新設すると発表したもの。同社にとって、SiCパワー半導体の生産拠点としてはオーストリア・フィラッハに続く2番目となる。第3工場でのウエハー出荷は2024年内にも開始される予定だ。なお、同工場の敷地面積や量産規模は「非公開」(同社)としている。
Hanebeck氏はセレモニーで、「第3工場は、InfineonのWBG(ワイドバンドギャップ)半導体ビジネスにおいてハイライトになる」と強調。工場建設が順調に進み、スケジュールを数カ月前倒しして開所に至ったことも明かした。「クリムの新工場は、世界最大規模の200mm SiCウエハー工場になる。このような規模の工場でSiCパワーデバイスを内製することで、当社は競合とは一線を画す存在になるだろう。Eモビリティ市場が拡大し、AI(人工知能)データセンターでは消費電力という大きな課題が出ている中、Si(シリコン)パワーデバイスからSiCパワーデバイスへの移行はフルスイングで進んでいる。クリムのSiC新工場で製造される次世代パワーデバイスは、これらの市場を含め、さまざまな市場のさらなる発展に大きく貢献するだろう」(同氏)
なおInfineonは2023年8月、第3工場をさらに拡張する計画(フェーズ2)を発表。今後5年間で最大50億ユーロを投資する予定だ。
続いてセレモニーに登壇したマレーシア首相のイブラヒム氏は、「Infineonの新工場が完成し、興奮している。第3工場は、マレーシアにおけるハイテク投資の象徴の一つになるだろう」と語った。さらに、「マレーシアでは過去数十年にわたり半導体の拠点が建設されてきたが、これらはほとんどが後工程工場だった。Infineonの第3工場は前工程工場であり、これは重要なポイントになる。マレーシアは半導体産業において、また一段、高みに上ることができるだろう」と続けた。
イブラヒム氏は、マレーシアが半導体エコシステムの一翼を担う存在になっていると強調。「若い人材もいるが、まだまだ足りない。大学なども整備して、半導体産業をさらに発展させていく必要がある」と述べた。
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