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月面で作る蓄熱材、原材料の98%を「現地調達」「月の砂」を活用(3/3 ページ)

レゾナックは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、「月の砂」を利用した月面での蓄熱/熱利用システムに関する研究を行っている。現状、原材料の98%を“現地調達”できる見込みだ。

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手上げコミュニティー制度で生まれたプロジェクト

 レゴリスを使った蓄熱材の開発プロジェクトは、レゾナックが導入している手上げ制で活動するコミュニティー「REBLUC(Resonac Blue Creators/レブルック)」内のプロジェクトチームによるものだ。REBLUCは、2022年から始まった制度で、有志の社員が個人の課題感に基づきプロジェクトを立ち上げ、部署の枠を超えてメンバーを募って活動するものだ。2024年度の活動で2期目で、第1期では5〜6個のプロジェクトが稼働していた。活動期間は1年間で、活動時間には個人差があるものの、各メンバーが労働時間の1〜2割をREBLUCの活動に使っているという。

 レゾナックは、REBLUCについて「当社は社員の自律性を重んじていて、積極的な取り組みを応援している」と説明した。

 レゴリスを使った蓄熱材料の開発プロジェクトの参加メンバーであるレゾナック 高分子研究所 材料科学解析センター 横浜材料解析部 横浜第5グループの寺尾久美子氏は「本プロジェクトには、さまざまな部署のメンバーが集まっているため、異なる視点や知見から意見を交わせることが面白い」と述べる。同社 生産技術統括部 プロセス開発センター 成型加工技術部 量産技術開発グループ グループリーダーの山高勝弘氏は「今まで培ってきた技術を伸ばしていくことの重要性はもちろんだが、このプロジェクトのように突発的に生まれる技術を深めていくことの重要性を感じている」とコメントした。また、コーポレートマーケティング部 市場開発第三グループ シニア・アシスタントマネージャーの藤森景子氏は「今まさに、今後のテーマを検討している段階だ。レゾナックは、『選び、選ばれる会社』をというビジョンを掲げている。一緒に研究を進められる大学や企業がいれば、声をかけてほしい」と語った。

レゴリスを使った蓄熱材の開発プロジェクトの参加メンバー(一部)
レゴリスを使った蓄熱材の開発プロジェクトの参加メンバー(一部)。左から、寺尾氏、清水氏、藤森氏、山高氏[クリックで拡大]

 レゾナックが宇宙関連材料の研究開発をするのは今回が初めてだ。同社は、宇宙関連の取り組みについて「宇宙の重要性が増している。(気温や放射線など)宇宙という過酷な環境に耐えられる材料は信頼性が高い。宇宙で使えるなら地球でも使えるはずだ」と述べ、今後の取り組みについて「具体的なテーマは検討中だが、企業や大学との連携も視野に入れながら事業化し、5〜10年以内に収益化したい」と語った。

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