空気質基準に準拠可能、超小型センサーモジュール:有害微粒子など7種類の信号を検出
ルネサス エレクトロニクスは、1個のモジュールで空気質に関連する7種類の信号が検出できる超小型センサーモジュール「RRH62000」を発売した。家庭や学校、公共施設における環境モニタリング用途に向ける。
外形寸法は46.6×34.8×12mmで、最小クラスのサイズを実現
ルネサス エレクトロニクスは2024年8月、1個のモジュールで空気質に関連する7種類の信号が検出できる超小型センサーモジュール「RRH62000」を発売した。家庭や学校、公共施設における環境モニタリング用途に向ける。
RRH62000は、レーザ方式の「PM1/PM2.5/PM10センサー」とガスセンサー「ZMOD4410」および、湿度/温度センサー「HS4003」を搭載している。これにより、有害微粒子であるPM1やPM2.5、PM10の濃度をはじめ、総揮発性有機化合物(TVOC)の絶対値や相対値、推定二酸化炭素濃度(eCO2)および、温度や相対湿度といった、7種類の信号を高い精度で検出できる。外形寸法は46.6×34.8×12mmで、センサーモジュールのサイズとしては最小クラスだという。
各センサーで収集したデータは内蔵したマイコンで処理するため、周囲の空気質データをリアルタイムに検出できる。RRH62000には、建物の空気環境基準に対応するファームウェアと、AI(人工知能)アルゴリズムが搭載されている。これにより、利用者の健康面に配慮するよう定められた空気質基準の「WELL」や「HVI」「RESET」などに、建物が適合できるよう、センサーの設定が可能である。
新たに開発したRRH62000や、既存のガスセンサーモジュール「RRH46410」などを、HVACシステムに導入すれば、二酸化炭素濃度や人の在室情報に基づいて風量を調整し、最適な空気質とエネルギー効率を維持できるという。また、AIアルゴリズムにより、エアコンのフィルター交換時期を予測し、適切に交換すればシステムダウンの時間も最小限に抑えられる。
なお、ルネサスではRRH62000と各種デバイスを組み合わせて提案する「ウィニング・コンビネーション」を提供している。これにより、RRH62000を応用したシステム開発の期間短縮が可能となる。
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