SBIグループとPFN、次世代AI半導体開発などで提携:最大100億円規模の出資も
SBIホールディングスとPreferred Networks(PFN)は、次世代AI半導体の開発および製品化に向け、資本業務提携を行うことで基本合意した。この合意に基づき、SBIホールディングスはPFNに対し、2024年9月末にも最大100億円規模の出資を行う予定。
次世代AI半導体製造プロセスの後工程でも連携
SBIホールディングスとPreferred Networks(PFN)は2024年8月27日、次世代AI半導体の開発および製品化に向け、資本業務提携を行うことで基本合意したと発表した。この合意に基づき、SBIホールディングスはPFNに対し、2024年9月末にも最大100億円規模の出資を行う予定。
PFNは、AI技術の実用化に向け、ハードウェアからソフトウェアまでを垂直統合で開発し提供するスタートアップで、2014年に創業した。AI半導体の設計や周辺ソフトウェアの開発、自社製のAIプロセッサ「MN-Coreシリーズ」を搭載したスーパーコンピュータの開発、さらには生成AI基盤モデルの構築および、これらを応用したアプリケーションを開発する。
また、MN-Coreシリーズを用いた計算基盤や、SaaSによる大規模プラントの自動運転、材料開発向け原子レベルシミュレーションなども提供している。なお、スーパーコンピュータの電力効率ランキング「Green500」では、第1世代のMN-Coreを搭載したスーパーコンピュータが、2020年と2021年に世界1位を3度も獲得したという。
SBIホールディングスは今回、PFNが開発する次世代AI半導体の社会実装を強力にサポートしていくため、資本業務提携を行うことにした。具体的には、「PFNの次世代AI半導体の製品化に向けた共同研究ならびに開発」「PFNの次世代AI半導体の製造プロセスにおける後工程の連携」そして、「PFNの資金調達等のファイナンス協力」などを検討していく。
半導体事業に関してSBIグループは、これまで「JSMCホールディングス」を設立。半導体大手商社のレスターと業務提携したり、宮城県大衡村で事業予定用地を確保したりして、半導体事業の拡大に取り組んできた。新たにPFNの次世代AI半導体を製造することで、製造業としての認知度を高めていく。
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