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「世界初」300mm GaNウエハー技術を開発、Infineonシリコン並みの低コスト化に向け

Infineon Technologiesが、300mmのGaN(窒化ガリウム)ウエハー技術を開発した。300mmウエハーでのチップ製造は、200mmウエハーの場合と比べ、ウエハー1枚当たり2.3倍のチップが製造可能となり、効率が大幅に向上する。

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 Infineon Technologies(以下、Infineon)は2024年9月11日(ドイツ時間)、「世界初」(同社)となる300mmのGaN(窒化ガリウム)ウエハー技術を開発したと発表した。300mmウエハーでのチップ製造は、200mmウエハーの場合と比べ、ウエハー1枚当たり2.3倍のチップが製造可能となり、効率が大幅に向上する。

フィラッハ工場のパイロットラインで製造された300mm GaNウエハー 出所:Infineon Technologies
フィラッハ工場のパイロットラインで製造された300mm GaNウエハー[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

 今回、オーストリアのフィラッハにあるパワー半導体工場の既存300mmシリコンウエハーの製造ラインに統合されたパイロットラインにおいて、300mmのGaNウエハーの製造に成功したという。Infineonは、「当社は世界で初めて、この画期的な技術を既存の拡張可能な大量製造環境で開発した。同技術は、GaNベースのパワー半導体の市場を大きくけん引するものだ」とコメントしている。

 300mm GaN技術の大きな利点として、GaNとシリコンの製造プロセスが非常に似ているために、既存の300mmシリコン製造装置を利用できることが挙げられる。同社は「Infineonの既存の300mmシリコン量産ラインは、信頼性の高いGaN技術の試験導入に理想的で、実装の迅速化と資本の効率的な利用を可能にする。完全にスケールアップされた300mmのGaN製造は、オン抵抗レベルでシリコンと同等のGaNコスト。つまり、同等のシリコン製品とGaN製品のコストパリティに貢献する」と説明している。

急成長するGaN市場のけん引に

 GaNベースのパワー半導体は、AI(人工知能)システム用電源、太陽光インバーター、充電器やアダプター、モーター制御システムなど、産業や車載、コンシューマー、コンピューティング&コミュニケーション用アプリケーションで急速に採用が進んでいる。Infinoenは、「最先端のGaN製造プロセスは、デバイス性能の向上につながり、効率性能、小型化、軽量化、総コストの低減を可能にすることで、最終顧客のアプリケーションに便益をもたらす。さらに、300mm製造によって、より安定的な供給が確保される」としている。

300mm GaNウエハーを持つInfineonのCEO、Jochen Hanebeck氏 出所:Infineon Technologies
300mm GaNウエハーを持つInfineonのCEO、Jochen Hanebeck氏[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

 Infineonは既存の300mmシリコンウエハーと、200mm GaNウエハーの製造で確立された能力を活用。今後、市場のニーズに合わせてGaNの製造能力をさらに拡大する予定だ。同社は「300mm GaNの製造によって、当社は、2030年までに数十億米ドルに達すると推定される成長中のGaN市場をけん引する。300mm GaNを導入することで、既存のソリューションを強化し、コスト効率の高い価値提案と顧客システムの全領域に対応できる能力を備えた新しいソリューションとアプリケーション分野を実現する」など述べている。

 InfineonのCEO(最高経営責任者)を務めるJochen Hanebeck氏は、「この技術的ブレークスルーは、業界のゲームチェンジャーとなり、GaNの可能性を最大限に引き出すことを可能にするだろう。GaN Systems買収から約1年、当社は急成長するGaN市場をけん引する決意を再び示したといえる。パワーシステムのリーダーとして、Infineonシリコン、SiC(炭化ケイ素)そしてGaNという、3つの素材全てに精通している」とコメントしている。

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