半導体材料市場、2029年に583億ドル規模へ:2024年見込みは470億ドル
富士経済は、半導体材料について2029年までの世界市場を予測した。これによると、2024年見込みの470億米ドルに対し、2029年には583億米ドル規模に達する。新たなAI(人工知能)搭載機器の登場や、データセンター向けサーバの需要増加などにより、半導体材料市場は拡大が続く。
新たなAI搭載機器やデータセンター向けサーバが需要をけん引
富士経済は2024年9月27日、半導体材料の世界市場を調査し、2029年までの予測を発表した。これによると、2024年見込みの470億米ドルに対し、2029年には583億米ドル規模に達すると予測した。新たなAI(人工知能)搭載機器の登場や、データセンター向けサーバの需要増加などにより、今後も半導体材料市場は拡大が続くとみている。
今回は、フォトマスクやフォトレジスト、成膜材料など前工程材料24品目と、パッケージ基板用銅張積層板材料や層間絶縁材料、シンタリングペーストといった後工程材料9品目を対象に調査を行った。また、CPUやGPU、NANDフラッシュメモリ、DRAMといった半導体デバイス4品目の市場についても調べた。調査期間は2024年5〜8月。
2024年における半導体材料の世界市場は、半導体デバイスの需要回復などもあり、2023年に比べ9.0%の増加を見込む。このうち、前工程材料は前年比6.9%増の374億米ドルとなる。EUV(極端紫外線)露光装置向けのフォトマスクやフォトレジストの需要が拡大する。また、トランジスタ構造の変化や3D-NANDの高層化により工程数が増えたため、成膜材料やエッチング材料、洗浄液などの需要増につながった。
一方、後工程材料は前年比17.1%増の96億米ドルを見込む。データセンター向けサーバの出荷台数が増え、パッケージ基板用銅張積層板材料や層間絶縁材料の需要が増加した。パワー半導体向けを中心に、はんだやダイボンドペーストからシンタリングペーストへの置き換えも進んでいるという。
富士経済は調査結果に基づき、注目市場として「フォトレジスト」「シランガス」「PFCエッチングガス」および、「パッケージ基板用銅張積層板材料」の4品目を挙げた。フォトレジスト市場は、2024年見込みの22億米ドルに対し、2029年は34億米ドルの規模と予測した。EUVレジストの需要増に加え、レガシー半導体の増産により従来のDUV(深紫外線)レジストについても需要は増加するとみている。
シランガス市場は、2024年見込みの9億米ドルに対し、2029年予測は14億米ドルである。FPD向けやシリコン半導体向け、メモリ向けの需要が回復する。さらに、高性能スマートフォンやAI搭載端末機器の増加により、ロジックIC向けでジシランの需要が増えると予想した。
PFCエッチングガス市場は、2024年見込みの11億米ドルに対し、2029年予測は14億米ドルである。各種半導体デバイスの需要回復とともに、AI搭載端末機器の登場によって製品の買い替えが促進され、同材料の消費量も増える可能性が高い。
パッケージ基板用銅張積層板材料市場は、2024年見込みの13億米ドルに対し、2029年予測は18億米ドルとした。今後は、サーバの出荷台数が増えるとともに、FC-BGA基板の大面積化などが進む見通しである。
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