半導体材料市場、2027年は586億米ドル規模へ:2024年以降は需要高まる
半導体材料の市場規模は、2023年見込みの465億米ドルに対し、2027年は586億米ドルに拡大すると予測した。2022年前半から始まった半導体デバイスの在庫調整が一段落し、2024年以降は半導体材料も需要が高まる見通し。
EUV向けフォトマスクやフォトレジストなど、4品目に注目
富士経済は2023年10月、半導体材料の世界市場を調査し、2027年までの予測結果を発表した。市場規模は、2023年見込みの465億米ドルに対し、2027年は586億米ドルに拡大すると予測した。2022年前半から始まった半導体デバイスの在庫調整が一段落し、2024年以降は半導体材料も需要が高まる見通し。
今回の調査は、シリコンウエハーやフォトマスク、フォトレジストなど前工程向け材料で25品目、ダイシングテープやボンディングワイヤー、封止材など後工程向け材料で11品目を対象とした。また、モバイル用SoC(System on Chip)やNAND型フラッシュメモリ、DRAMの3製品についても調査した。調査期間は2023年5〜8月。
半導体材料市場を工程別に調査した。前工程材料は、2023年見込みが334億米ドルで、2022年に比べ11.9%の減少となる。ただ、EUV(極端紫外線)に対応するフォトマスクやフォトレジストの需要は増加しているという。また、トランジスタ構造の変化や3D-NANDの高層化による工程数の増加などもあり、成膜材料やエッチング材料、洗浄液の需要は増える見通し。この結果、2027年の市場規模は431億米ドルに達すると予測した。
後工程材料の市場規模は、2023年見込みの131億米ドルに対し、2027年は155億米ドルとなる見通し。次世代通信用半導体デバイス向けなどが需要をけん引するとみられる。
富士経済は半導体材料の中で今後、需要拡大が期待される注目材料として「フォトマスク」「フォトレジスト」「CMPスラリー」「PFCエッチングガス」の4品目を挙げた。回路パターンの形成に用いられるフォトマスク市場は、2023年見込みの59億米ドルに対し、2027年は69億米ドルと予測した。最先端の製造ラインに対する投資が進む中で、特にEUV向けは大きな伸びが期待されている。
フォトリソグラフィ工程で用いられるフォトレジストは、2023年見込みの21億米ドルに対し、2027年は28億米ドルを見込む。EUV向けはもとより、ArFエキシマレーザーやKrFエキシマレーザー向けなど、今後は全てのタイプで需要が増加すると予測した。
CMPスラリーは、ウエハー表面を平たん化するCMP工程で用いられる。市場規模は2023年見込みの17億米ドルに対し、2027年は23億米ドルと予測した。レイヤー層の増加や構造の複雑化などにより、今後は研磨工程がさらに増える見通し。
PFCエッチングガス市場は、2023年見込みの8億米ドルに対し、2027年は11億米ドルと予測した。3nmやそれ以降のロジック製品および、多層化が進む3D(3次元) NANDフラッシュメモリなどにより、市場が拡大する。
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