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全固体ナトリウム電池向け塩化物固体電解質を開発室温で実用レベルの導電率を実現

大阪公立大学は、室温で実用レベルの導電率を実現した全固体ナトリウム電池向け「塩化物固体電解質」を開発した。電極活物質との副反応が生じにくく、耐久性など機械的特性にも優れていることを確認した。

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塩化物に比べ電気化学的安定性が高く、機械的特性に優れる

 大阪公立大学の研究グループは2024年10月、室温で実用レベルの導電率を実現した全固体ナトリウム電池向け「塩化物固体電解質」を開発したと発表した。電極活物質との副反応が生じにくく、耐久性など機械的特性にも優れていることを確認した。

 全固体ナトリウム電池の実用化に向けては、優れた電気化学特性や機械的特性を有する固体電解質の開発が必須といわれている。これまでは硫化物や酸化物を用いた固体電解質の開発が行われてきたが、近年は酸化耐性に優れた塩化物も注目されている。

 研究グループはこれまで、塩化物固体電解質「NaTaCl6」に着目してきた。今回は、これにTa2O5を添加した。この結果、室温で10-3Scm-1以上の導電率を示す塩化物固体電解質「Na2.25TaCl4.75O1.25」を開発することに成功した。

 室温において導電率が大きく増加した要因は、「Ta2O5の添加前と比べ、非晶質相の割合が増えたため」という。また、遊星型ボールミル装置を用いメカノケミカル法で合成した「Na2.25TaCl4.75O1.25」には、NaやTa、Cl、Oから成る非晶質相マトリックス中に、ナノサイズのNaClとTa2O5結晶が分散していることが分かった。

塩化物固体電解質における導電率の温度依存性
塩化物固体電解質における導電率の温度依存性[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学

 開発したNa2.25TaCl4.75O1.25は、Na3PS4やNa11Sn2PS12などの硫化物あるいは、Na3Zr2Si2PO12などの酸化物に比べ、高い導電率となることを確認した。さらに、従来の塩化物よりも電気化学的安定性が高く、機械的特性に優れることも明らかになった。

 研究グループは今後、複合固体電解質におけるイオン伝導機構の解明や、さらなる材料開発などに取り組む予定である。

 今回の成果は、大阪公立大学大学院工学研究科の本橋宏大助教、塚崎裕文氏(当時は特任准教授)、作田敦准教授、森茂生教授、林晃敏教授らによるものである。

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