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村田製作所がシリコンキャパシターの200mm生産ラインを新設:携帯端末向けに生産能力を増強
村田製作所は、生産子会社であるMurata Integrated Passive Solutionsのフランス・カーン工場に200mmウエハー生産ラインを新設した。主に携帯端末向けに、厚さ50μmと極めて小型のシリコンキャパシターを生産する。
村田製作所は2024年10月11日、シリコンキャパシターの生産能力を拡大すべく、Murata Integrated Passive Solutionsのフランス・カーン工場に200mmウエハー生産ラインを新設したと発表した。同ラインで製造されるシリコンキャパシターは携帯端末市場を主なターゲットとしていて、厚さ50μmと小型ながら極めて高い性能と静電容量値を実現した製品だという。
Murata Integrated Passive Solutionsは、村田製作所が2016年10月に買収したフランスの旧IPDiAである。カーン工場は約5000m2のクリーンルームを備えている。今回の200mmウエハー生産ライン新設は2023年3月に発表された。村田製作所は、カーン工場に6000万ユーロを投資し、成長をさらに加速させていくとしている。
シリコンキャパシターは、半導体の前工程を用いて製造するキャパシター。村田製作所はMOSプロセスを応用してキャパシターを3次元化することで電極面を増やし、基板単位面積当たりの静電容量を大きくしたという。同社によれば、この3次元化技術により、100μmの薄さ(高さ)の中に、セラミック層80層分に相当する静電容量領域を実現している。
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