ST、不揮発性メモリ「ページEEPROM」を発表:EEPROMとフラッシュの特長を生かす
STマイクロエレクトロニクスは、ウェアラブル機器や医療機器、アセットトラッキング、電動アシスト自転車といった用途に向けたページEEPROM「M95P」を発表した。シリアルフラッシュの速度/容量と、EEPROMのバイトアクセスという柔軟性を両立させた。
データ読み込み速度は320Mビット/秒、書き換え回数は50万回
STマイクロエレクトロニクスは2024年10月、ウェアラブル機器や医療機器、アセットトラッキング、電動アシスト自転車といった用途に向けたページEEPROM「M95P」を発表した。シリアルフラッシュの速度/容量と、EEPROMのバイトアクセスという柔軟性を両立させた。
新製品はメモリ容量が8Mビットの「M95P08」、同16Mビットの「M95P16」および、同32Mビットの「M95P32」である。スマートページ管理機能を組み込んでおり、データロギングのような処理では、バイト単位の書き込み操作が可能である。ページ/セクター/ブロック単位での消去および、最大512バイトのページ書き込みに対応しており、OTAによるファームウェア更新も効率よく実行できる。
また、バッファローディングによって複数ページを一度にプログラムする場合も、全体の書き込み時間を短縮できる。データ読み込み速度は320Mビット/秒で、標準的なEEPROMと比べて16倍も高速である。さらに、全動作温度範囲で50万回の書き換え回数を実現した。消費電力は同社従来品と比べ10分の1に抑えた。
ピーク電流制御機能も搭載しており、電源ノイズは極めて小さく、バッテリー駆動機器の動作時間延長も可能である。書き込み電流も、ほとんどの従来型EEPROMに比べ小さく、ディープパワーダウンモードにより、待機電流は1μA未満に抑えた。データ保持期間は100年間と長寿命である。しかも、ST自体で10年間の供給を保証している。
新製品は既に量産中でM95P08の単価は約0.50米ドル。また、評価ボード「X-NUCLEO-PGEEZ1」(参考価格は約40米ドル)や、ソフトウェアパッケージ「X-CUBE-EEPRMA1」も用意し、提供を始めた。
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