JDIの「eLAEP」中国工場建設、最終契約に至らず:「生産能力50倍」目指す計画だが
ジャパンディスプレイは、中国の蕪湖経済技術開発区と戦略提携覚書(MOU)を結んでいた、次世代OLED「eLEAP」の大規模量産工場建設などのプロジェクトが最終契約締結に至らず、MOUも延長しないと発表した。
ジャパンディスプレイ(以下、JDI)は2024年10月23日、中国の蕪湖経済技術開発区(以下、蕪湖開発区/中国安徽省蕪湖市)と戦略提携覚書(MOU)を結んでいた、次世代OLED「eLEAP」の大規模量産工場建設などのプロジェクトが最終契約締結に至らず、MOUも延長しないと発表した。
蕪湖開発区とのMOUでは、契約締結後、eLEAPの事業会社を設立し、同区内に量産工場を建設。これによってJDIのeLEAP生産能力を50倍以上拡大することを目指すとしていた。MOUの発表後、JDIは最終契約締結に向けた準備を進めてきたが、既に2023年12月と2024年3月の2度にわたり、最終契約締結日の延長を発表していた。
JDIは今回の発表の中で「当社は蕪湖開発区との友好関係の下、全面的なサポートを受けながら本プロジェクトにかかる最終契約締結に向けて最善を尽くしてきた。現時点において最終契約締結に至っていないため、同区とのMOUを延長しないこととしたが、引き続き本プロジェクトの立ち上げに向けて最善の努力をもって検討を継続する」などとコメントしている。
経営再建に向けスマートフォン向け液晶ディスプレイからの撤退など事業転換を進めるJDIは、eLEAPが同社の「将来を担う」製品として注力。2024年12月から茂原工場(千葉県茂原市)で量産予定だが、中国工場が実現すればeLEAPの生産能力は50倍以上に拡大できる見込みとなっていて、「顧客の旺盛な需要に応える体制を築くことができる」と期待を示していた。
JDIは2023年4月、中国のディスプレイメーカーHKCとeLEAP工場の共同建設および2025年内の量産開始を含むMOU締結を発表していたが、同年9月に同MOUの解除を発表。その同日に今回の蕪湖開発区とのMOUを発表していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 木材も布もタッチパネルに変えるセンサー技術を展示、JDI
ジャパンディスプレイ(JDI)は、2024年10月15〜18日に開催される「CEATEC 2024」(幕張メッセ)に出展し、センサー技術「ZINNSIA(ジンシア)」を展示する。 - 「負け組」からの脱却なるか JDIが新技術を続々発表
「EE Times Japan」に掲載した主要な記事を、読みやすいPDF形式の電子ブックレットに再編集した「エンジニア電子ブックレット」。今回は、2014年3月の株式上場後、10年連続で赤字のジャパンディスプレイ(JDI)が、再起をかけて発表している新製品/新技術に関する記事をまとめました。 - JDIの24年度1Qは赤字幅が半減、車載やOLEDが好調
ジャパンディスプレイの2024年度第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比6%増の559億円、営業利益が同68億円増で70億円の赤字、純利益が同57億円増で65億円の赤字となった。コア事業での売り上げ増加に加え、製品ミックス改善や固定費削減、在庫効率化によって損失を大幅に圧縮。EBITDAは51%、営業利益は49%、純利益は53%の改善となった。 - ディスプレイを「分身」させる技術を開発、JDI
ジャパンディスプレイは2024年8月2日、見る角度によって異なる2つの映像を表示することができる2 Vision Displayにおいて、HD相当の画質を実現した新製品を発表した。同製品には、タッチ操作した人を識別する「Double Touch」機能も搭載している。 - 2527ppiの高精細2.15型ディスプレイ、JDIが開発
ジャパンディスプレイ(JDI)は、VR-HMD(仮想現実ヘッドマウントディスプレイ)やMR-HMD(複合現実ヘッドマウントディスプレイ)に向けて、2527ppiの精細度を実現した2.15型ディスプレイを開発した。 - 「負け組」JDI、年内量産立ち上げの次世代OLEDが「われわれの将来を担う」
ジャパンディスプレイ(JDI)の2024年3月期(2023年度)通期連結業績は、売上高が前年度比12%減の2392億円、営業利益は同102億円増で341億円の赤字、純利益は同185億円減で443億円の赤字だった。2014年3月の株式上場後、赤字は10年連続となった。