12畳を1台でモニタリング 検知面積が従来比2倍の赤外線センサー:スマートビルや病院に(2/2 ページ)
三菱電機は、サーマルダイオード赤外線センサー「MelDIR(メルダー)」の新製品として、100度×73度の広画角化によって既存製品の2倍以上広い検知面積を実現した「MIR8060C1」を発表した。一般的な天井高の家屋では、12畳の部屋の隅に設置して床面全体を検知できるほどの画角だ。
画素数はそのままで広画角化
MelDIRの既存製品である「MIR8060B3」「MIR8080B1」は、80×60画素で画角は78度×53度だった。今回発売するMIR8060C1は、検知面積をより広げたいというニーズに対応するものだ。既存製品と同じ80×60画素でありながら、100度×73度の広画角で、検知面積は2倍以上に拡大している。熱画像を不明瞭にする光入射成分を抑制するとともに、画角を拡大した新設計のレンズを採用することで、広画角化が実現したという。
具体的には、一般的な家屋の居間を想定した12畳の空間(3.52×5.28×2.4m)では、部屋の隅に1台設置すれば床面全体を検知できる。
200坪のオフィス(22×30×2.6m)をモニタリングするには、既存製品の場合は96個設置する必要があったのに対し、新製品は40個で済む。新製品は既存製品よりも数十パーセント価格が上がる見込みだというが、価格差を考慮しても全体のコストを低減できる。
AIモデル作成ツールを提供 転倒検知も可能
記者説明会では、実際に新製品を用いて転倒を検知するデモを行った。立って歩く人物に画面上で緑色の枠がついていたが、転倒すると枠が赤色に変わった。
三菱電機は、MIR8060C1発売にあたり、同製品の用途提案や評価用デモキットの提供、ハードウェア/ソフトウェア開発に必要なリファレンスデザインの提供を行う。人検知や姿勢検知のアルゴリズムを作成するためのAIモデル作成ツールも提供する。
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