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5分で70%まで充電 NTO負極を用いたリチウムイオン電池7000サイクル後でも容量93%

東芝は2024年11月、ニオブチタン酸化物(NTO)を負極に用いたリチウムイオン電池を開発した。リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP電池)と同等の体積エネルギー密度を実現しつつ、超高速充電と長寿命化を両立させた。

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5分間で約70%まで充電、充放電回数はLFP電池の10倍以上

 東芝は2024年11月6日、ニオブチタン酸化物(NTO)を負極に用いたリチウムイオン電池を開発したと発表した。リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP電池)と同等の体積エネルギー密度を実現しつつ、超高速充電と長寿命化を両立させた。既に開発品を電気バスに搭載し、実証実験を始めており、早期実用化を目指す。

 東芝は、NTO負極を用いたリチウムイオン電池を2017年に試作。2018年にはブラジルのCBMMおよび双日と共同開発契約を結び、実用化に向けて開発を行ってきた。2024年6月より、CBMMが権益を有するブラジル・ミナスジェライス州のアラシャ鉱山で、実証実験を始めているという。

 NTO負極を用いた電池は、原理的にリチウムの析出がなく、急速充電時に電流値を制御しなくても安全に充電が行え、充放電を繰り返しても劣化が少ないという特長がある。その上、熱安定性が高いため電池が高温になっても、急速充電が可能である。

 今回は、NTO負極のNTO粒子の表面にナノレベルの導電剤を均一に分散させ、粒子間に強固な導電ネットワークを形成するための電極製造技術を開発した。これにより、5分間で約70%の急速充電が可能となった。しかも、外気温が−30〜60℃という過酷な環境下でも超急速充電ができるという。

 開発した技術を適用して容量50Ahの大型電池セルを試作。これを用い循環バスの運行を模擬したサイクル試験を行った。これにより、7000サイクル後でも93%以上の容量を維持できることを実証した。

開発したNTO負極セルの性能
開発したNTO負極セルの性能[クリックで拡大] 出所:東芝
粒子間に強固な導電ネットワークを形成する電極製造技術と製造した電極
粒子間に強固な導電ネットワークを形成する電極製造技術と製造した電極[クリックで拡大] 出所:東芝

 これらのデータから、急速充電と放電を1万5000回以上繰り返しても、電池容量は80%以上を維持できることが分かった。この回数はLFP電池に比べ10倍以上である。例えば、1回の充電で約100km走行できる電池を搭載したバスは、1日に2〜3回の超急速充電を繰り返す場合でも、15年以上(150万km相当)は電池を使い続けられるという。安全性についても、釘刺し試験では発煙や発火がなく、「EUCAR hazard level 3」の安全性を確認した。

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