将来的な機能安全を見据えた車載用バッテリー保護IC:エイブリックが開発
エイブリックは、車載用の3〜6セルバッテリー監視IC「S-19193シリーズ」を発売した。EV(電気自動車)やe-BikeなどのBMS(バッテリーマネジメントシステム)用途に向ける。
セカンダリ監視ICとして、プライマリ監視から完全独立も
エイブリックは2024年11月、車載用の3〜6セルバッテリー監視IC「S-19193シリーズ」を発売した。EV(電気自動車)やe-BikeなどのBMS(バッテリーマネジメントシステム)用途に向ける。
S-19193シリーズは、車載バッテリーにおける過充電と過放電の状態を監視する機能を備えている。スタンドアロン動作が可能なため、マイコンなどを用いたバッテリー監視機能(プライマリ)に不具合が生じても、セカンダリ監視ICとしてバッテリーの過充電・過放電を常時監視し続けられる。これによって、より安全なBMSを実現できる。
しかも、プライマリ監視とは完全に独立させることが可能なため、共倒れのリスクを回避することができる。ISO26262に準拠したプロセスで開発されており、想定されたユースケースの下でASIL-B(D)レベルを達成している。
自己診断による故障検出機能もサポートしている。外部からスタート信号を入力すれば、IC内部の故障を検出することができる。「偶発故障」によって監視機能が失われた場合でも、自己診断機能を使ってシステムが監視機能の故障を検知できるという。
カスケード機能も備えている。S-19193シリーズを直接接続したり、フォトカプラーを介して接続したりすることはできる。これによって、多数のバッテリーを用いた高電圧BMSでも、安全な監視回路を構成できる。
S-19193シリーズの主な仕様は、過充電検出電圧が2.50〜4.50V±20mV、過放電検出電圧は1.00〜3.00V±80mV。動作時の消費電流は最大20μA、最大定格は28V、動作温度範囲は−40〜125℃、パッケージは外形寸法が6.4×5.12×1.1mmのHTSSOP-16で供給する。
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