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6セル直列以上の電圧監視を実現する、セカンドプロテクトIC外付け部品を従来比30%まで削減

エイブリックは2024年3月12日、セカンドプロテクトIC「S-82K5B/M5Bシリーズ」を発表した。カスケード機能を搭載することで、6セル直列以上の電圧監視に必要な外付け部品点数を従来の30%程度に削減した。

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 エイブリックは2024年3月12日、3〜5セル直列用セカンドプロテクト用IC「S-82K5B/M5Bシリーズ」の提供を開始した。カスケード機能*)を搭載したことで、6セル以上の電圧監視における外付け部品の点数を従来比30%程度まで削減でき、実装面積は従来比で30%以下に小型化できる。

*)複数のICを接続することで、1つの保護ICで対応できるバッテリーの最大数を超える数のバッテリーを保護する機能

S-82K5B/M5Bシリーズの概要
S-82K5B/M5Bシリーズの概要[クリックで拡大] 出所:エイブリック

 セカンドプロテクト用ICは、リチウムイオン電池の過充電を検知した際に信号を発信するもので、プロテクションヒューズと組み合わせて使用される。セカンドプロテクトICからの信号によってプロテクションヒューズを溶断、つまり、物理的に充電電流経路を遮断し、機器の安全性を確保する仕組みだ。

 従来のセカンドプロテクト用ICでは、監視可能な電池数は5セル直列までが一般的であり、6セル直列以上の電圧監視を行うためには、多数の外付け部品が必要だった。エイブリック担当者は、「従来製品で11〜15セル直列の電圧監視を行う場合、18個の外付け部品が必要だ。一方、S-82K5B/M5Bシリーズは、5つの外付け部品で済む。顧客からもシンプルな回路構成で電圧監視が可能な点を評価されている」と説明した。

11〜15セル直列の電圧監視を行う場合に必要な場合に必要な外付け素子数の比較
11〜15セル直列の電圧監視を行う場合に必要な場合に必要な外付け素子数の比較。従来品を使用する場合(左)、S-82K5B/M5Bシリーズを使用する場合(右)[クリックで拡大] 出所:エイブリック

 新シリーズでは、カスケード機能使用時に懸念されるオープン故障への対策として、オープン故障検出回路を搭載。これにより、通信回路がオープンになった場合にも充電電流経路を遮断することで機器の安全性を確保する。

 両シリーズは過充電検出電圧の精度が異なり、S-82K5Bシリーズは、25℃において±20mV、−10〜60℃において±25mV。S-82M5Bシリーズは、25℃において±15mV、−10〜60℃において±20mVだ。

 主な用途は、電動工具や掃除機、電動自転車など、高電圧かつ高い安全性が要求される機器を想定していて、動作温度は−40〜85℃。最大定格は28Vで、動作時消費電流は最大5μA。パッケージは、TMSOP-8(サイズ:4.0×2.9×0.8mm)、SNT-8A(2.46×1.97×0.5mm)を採用している。

 サンプル価格は、S-82K5Bシリーズが250円(税別)、S-82M5Bシリーズが300円(税別)。販売目標は、S-82K5B/M5Bシリーズ合わせて、今後3年間の累計で5000万個を目指す。

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